ふわっとしている削った鰹節の上に昆布でとった熱い出汁が注がれ、その後なんの未練もなく出汁びたしの鰹節が入ったザルがさっと外されます。
それがもったいないと思ってしまう私は 「ああー、もうちょっとギュッギュッと押してエキスを出してから捨てたいなー」 とつい言ってしまいます。
その言葉を聞いていた主人は、最後の数滴すら入らないように即座にザルを退けながら言います。
「薄く削った鰹節に熱い出汁がさっとくぐるだけで旨味はパーフェクトに出てしまうから、残りの数滴とか待つ必要はないんだよ。ましてや押したり搾ったりするなどもってのほか」 と。
北海道・利尻の昆布と鹿児島・枕崎の本枯れ節(血合い抜き)を用いるこの出汁は、お椀はもちろんのこと、玉子焼き・煮切り醤油・煮物・土佐酢・土瓶蒸しなど様々なものに使われます。