大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2016年04月02日 | 植物

<1555> ナ ラ 枯 れ

         新しき伐り株一つ二つ三つこれも遷移の証か知らず

 近年、奈良県では春日山の一帯から生駒山系、それに加え、平地部の丘陵地などでナラ枯れの被害が続いている。枯れたコナラ(ナラ)の処置に当たるのを馬見丘陵公園で見かけたが、大和郡山市の大和民俗公園の自然林にも発生し、このほど被害木の伐採が行なわれ、原因になっているカシノナガキクイムシの駆除に当たっている。

 カシノナガキクイムシはブナ科のコナラ(ナラ)やカシ類を好む甲虫で、幹の中に多数入り込むとナラ菌を媒介し、ナラ菌が繁殖すると木地が細分化され、その屑が菌糸とともに幹の道管を詰まらせるということが起きる。結果、道管が詰まり、水の補給が出来なくなり、その木は枯れる。

            

 カシノナガキクイムシの侵入によって立ち枯れた木をそのまま放置して置くと、いよいよカシノナガキクイムシは繁殖し、次のコナラ(ナラ)やカシ類などの木に移って行き、被害を大きくする。このため、枯れた木は伐採し化学薬品によって燻蒸駆除処理を行なう。この処理をムシの活動期を前に行なった。

 地名奈良の語源の由来の一説にもあるように、青垣の山をはじめ、奈良大和の山々、殊に低山や丘陵地には里山の樹種として知られるクヌギとともにコナラのナラが多い土地柄で、樹高二十メートルにもなる落葉高木の姿はよく見受けられる分、ナラ枯れの光景は目につく。

 コナラのナラはクヌギと同様、昔は薪炭材として利用され、生活に密着した樹種で、四季の変化に富み、親しまれて来たことにもより、ナラ枯れによる伐採は、林の姿を変えることにも及び、淋しいようなところがある。 写真はコナラの伐り株(左)とカシノナガキクイムシの燻蒸駆除処理のためビニールシートが被せられた被害木(右)。いずれも大和民俗公園で写す。

 


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