浅野ゆうじの独り言

社会・政治に関連する本の感想や日々の出来事についての私なりの考え方を書いています。

「上場企業52%無借金経営」のニュースを見て

2013-06-03 21:28:25 | 社会・経済

 日経新聞によると52%の上場企業が借入より現金が上回る無借金の経営状態にあるそうです。皆さんはこのような企業の経営状況をどのように感じるでしょうか。

 確かに、企業の内部留保によって企業の財務体質は強くなっていることを示すものですから、決して悪いことではないかもしれません。企業の存続、将来への対応、新たな設備投資への準備など、財務体質の強化は経営者にとって重要な経営方針の一つではあります。しかし、違和感を持つのは私だけでしょうか。

 昔は、無借金経営といえば、古い伝統のある同族企業や特殊な分野に特化した中小企業だったような気がしますが(特別データもないので私だけの思い込みかもしれませんが)、それを思うと、半数以上の企業が無借金とは、以下にカネ余りの時代になったかと思います。

 果たして企業が、ある意味では守りの経営という状況でよいのでしょうか。企業単体で見れば、株主の価値を上げる行為として、経営者の評価は上がるかもしれません。しかし、社会全体を考えればどうでしょうか。

 一つは、売り上げが上昇していない状況の中で、それだけの現金が内部にたまっているということは、資金が十分に循環されていないことを示すことになります。データはないので空論となるかもしれませんが、デフレ状況を考えればそう推測できます。今一つは、企業の活力が損なわれてしまうのではないかという心配です。無借金が一つの指標となってしまうと、新規投資に躊躇が出てきてしまう恐れがあるのです。

 このような点だけで論じるのは暴論ですが、社会の活力を奪ってしまうことを恐れるわけです。むろん、各企業は血のにじむような努力によって、無借金にしたんだという誇りは持っています。しかし、一方で、社員や非正規社員の犠牲の上に立つようなものであってよいのか、構造改革によって下った法人税はそのままでよいのか、企業の組織論理に立ったままの経営でよいのか、再考すべき点が多々あると思います。

 専門家ではありませんので、データに立脚した議論をすべきですが、言いたいのは経済的視点に立ったものばかりでなく、ミクロの部分で、日本のかつての経営、また企業の在り方を論じていく必要があるのではないかとも思います。

 アベノミクスで、株価が上がったことを否定するものではありませんが、実体経済において、お金の還流が問題であり、一人一人の国民にどのように還元されていくのか、政治の面で考えてみなければなりません。

以上


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