浅野ゆうじの独り言

社会・政治に関連する本の感想や日々の出来事についての私なりの考え方を書いています。

議会の責任

2017-04-13 09:14:20 | 日記
「議会の役割・チェック機能とは」
 先の平成28年・秋号で、国の議会と地方議会の違いについて、また議会の在り方などについて質問形式で説明してきました。そこで今一度、議会のチェック機能について、重要な点を簡潔に述べますと、「予算を立案する予算編成権、つまり予算の使い道を決めることの権限を持たない議会は、予算編成権を持つ首長に対し、その予算の執行を審議し、認可の是非を決める権限を持つ」ということです。このため、「議会は、予算執行の拒否権を持つという大きな権限を認識し、詳細にかつ慎重に議論、審議し、その予算の執行の採択・不採択を決定しなければならない」のです。
「説明責任を果たす」
 行政上の説明責任といえば、行政が(行政の最高責任者である首長が)予算を執行するにあたり、議会と市民に対し、また議会は市民に対し、行うことを言います。ここで議会として重要な点は、議会に対する説明責任です。議会の責任として、採決する重要な権限を持っており、詳細・慎重な審議をするためにも、行政側はしっかりとした説明責任を果たさなければなりません。そして、議会はその議論と審議を明らかにし、市民に対する説明責任を負うのです。このことからもわかるように、一度決定した予算や条例は、議会を通して採択された以上、議会も責任を持たなければならないということになります。
「議論と審議が大切」
 議会では、それぞれの議案に従って、各専門の委員会に付託され、委員会ごとに議論、審査が行われます。そして議案の可否は討論の後、多数決によって採択・不採択が決定されます。また、公式ではありませんが、議員が所属する会派の中で議論されることもあります。
こうした議論の重要性は、それぞれの議員の見識が問われるわけで、議員が果たす重要な役割です。議論は、否決するときに重要であるばかりでなく、たとえ賛成する場合でも意見を述べ、時には修正を求め、注意を喚起したりすることが議員の役割だと思っています。
「十分な議論と審議のために」
 提出された議案に対し、精査し、市民目線で、必要かつ不可欠なものであって、特定の権利を代表していないか、自らの経験と見識において妥当なものであるか、現在だけでなく将来においてどうか、など、議員個人としてだけでなく議会としての決定を念頭に責任ある議論をする必要があります。
都議会のような知事派の議員が多くなることによって議論がないがしろになり、チェック機能が働かないことが心配されます。同様に、築地・豊洲問題のように石原元知事のカリスマ性によって議会のチェックが十分に行われなかったのではないかという疑念も指摘されます。他山の石として、議員の役割を認識し、責任を果たさなければなりません。

(この春、発行の私の広報紙に乗せた記事です)

岐阜市議会・3月議会質問

2017-04-13 09:10:37 | 国際・政治
地方交付税が減っている理由は?
歳入面から見ますと、地方交付税が昨年に比べ25億円の減額になっており、将来補填されるとはいえ借金となる臨時財政対策債が15億円増え、バランスは取れています。そもそも生活保護自給の算定ミスによって毎年15億円の返還を余儀なくされている地方交付税の減少が懸念されます。といえども、市税収入が増える(プラス9億円予定)ことによって、交付税が減少する国の地方財政計画の仕組みに問題があり、借金の臨時財政対策債が積み増しされることは、将来、大きな問題になることは間違いありません。今後、地方に跳ね返ってくる負担になりかねません。

消防の広域化が始まる?
 今、瑞穂市の消防を事務委託で岐阜市が引き受けています。さらに山県市、本巣市、北方町の消防の広域化を進めようとするものです。この広域化によって岐阜市や市町にとってのデメリットを懸念しました。地理的な広がりによって従来の消防範囲内に与える影響を心配し、一方で責任範囲の広がりが他の市町にサービスの低下となって大きく影響しないかという問題です。ただ、広域化といっても、あくまでも事務委託の契約であり、その契約の範囲内の責任に限定されるということです。果たして、広域化の意義があるのかは明確ではありませんが、しっかりとした協議を求めるものです。人口減少時代においてはこうした広域行政の時代になるのかもしれません。

債権の中身は何か?
包括外部監査(第三者による特定事項の監査)が行われ、債権(将来の収入)の取り扱いについての指摘が行われました。平成27年度の収入未済額(取り立てを必要とする債権)は153億円であり、うち69億円が産廃不法投棄事案に関する行政代執行の費用です。このように収入未済額といっても、取り立て困難な債権もあり、その管理をどうすべきか問いました。5年で不納欠損として帳簿から消えます。徴収努力はもちろんのことですが、こうした回収ハードルが高い債権の取り扱いを考えなければならないと思います。

「岐阜市公共施設等総合管理計画」について?
現在ある公共施設の建て替えや統廃合問題を考えるもとになる資産データが整理され、それに基づく財政負担の軽減や平準化を図るための管理計画です。人口減少の時代には、従来通りのサービスの維持は困難であり、将来30年の基本的な指針が必要です。基礎となる資産が会計上のシステムと連動しておらず、またその資産評価がされないことは大きな問題です。計画自体は国からの指針で作成するものですが、効果あるものにしなければ意味がありません。

市民病院は大丈夫?
 民間企業に準ずる公企業の会計基準の変更によって、赤字経営になっています。改革のための『新改革プラン』では、収益の改善に限界があり、黒字化が見込めない状況であります。単なる会計処理の変更であるため、旧方式であれば黒字であるとしています。しかし、基準が変わる意味を考えていないようです。結局は新基準で累積損失が膨らむだけになります。経営形態の変更も視野に入れ、外部委員も含めた抜本的改革が必要です。また、他都市のように基準を超える一般財源の投入を検討しなければならないかもしれません。その際、どこまで許容されるのかの議論が必要になります。

職員の公正な職務を確保する条例は問題ない?
心配されるのは、条例制定によって職員の公正な職務が確保される一方、市民要求が阻害されるような事態にならないか、また不当要求行為者に対する氏名の公表は基本的人権の問題にならないか懸念したところです。法律は解釈によって意見が分かれるように、取り決められる法の境界がしっかりと定まるわけではありません。公正な職務とはなんであるか、不当要求行為の線引きはどこにあるのか、氏名を公表するにあたっての審査会は機能するのか、人によって対応が違ってもよいのか、など実際の運用面の懸念を示しました。


法令遵守の向こう側

2017-04-13 09:05:03 | 国際・政治
 法令遵守(コンプライアンス)は、「法律や社会的通念を守ることを前提に、企業や組織がそのルールに従って、公正・公平な業務を遂行すると。」と定義されます。 
 今、「忖度(そんたく)」が議論の対象になっています。この言葉がどれだけ政治家や公務員にとって法令遵守の範囲内であるのか、それとも法律や社会的通念を超えた違法性になるのかの議論です。本来、「忖度」があったとしても、法治国家である以上、法令に反しない限り、違法性を問えません。社会通念として是正するのであれば新たなルールを作ることが必要になります。ただ、「忖度」を突き詰めてルールを変えていくことに問題も起きてくるのではないかと思われます。「忖度」を認めないとすれば、必要とされる声や要望が届かない危険性もあります。
 法令遵守の向こう側にある「忖度」は、極めて政治的であるがゆえに、日本社会にある独特の『空気』をどう考えるかと思います。


組織の論理と個人

2017-04-13 08:17:13 | 社会・経済
 過日、過労死による公務災害認定を争う控訴裁判を名古屋高等裁判所で傍聴しました。公務災害の認定を求める自死された元市役所職員の婦人であり、被告となる相手は公務災害認定をする組織である基金です。地裁では原告の勝訴となったのですが、基金側が控訴し、高等裁判所での控訴審を迎えたわけです。
 ただ、裁判の内容に関するものではなく、こうした争いを身近に感じたとき、表題の「組織の論理と個人」としていつも感じることがあります。「いじめ」や「ハラスメント」、また差別」や「人権」の報道を耳にすると、「組織の論理」を優先させてきた世の中であるのか、それとも個人の内面的な主張を認めるのか、その判断の境界線が変わってきているのは明らかであるということです。それはどちらが正しいかということではなく、社会的な許容の判断が変わってきていることだと思います。そのため、旧態依然とした固定観念による判断は許されない時代になってきたのではないかということです。過渡期であるが故の問題なのかもしれませんが、組織の論理を考え直すこと必要があります。