浅野ゆうじの独り言

社会・政治に関連する本の感想や日々の出来事についての私なりの考え方を書いています。

吉田徹著「アフターリベラル」より

2020-11-21 10:49:05 | 国際・政治
歴史認識を考えるうえで、印象に残る文章がありました。
紹介としてそのまま引用します。
歴史家であるトニー・ジャットの言葉として、
「『歴史認識という争点は主観的なものであるゆえ、必然的に人と人を分断するものであり、そこで歴史認識のベースとなる記憶を確かなものにしようとすればするほど、記憶を共有しない他人との距離が開くことになるからだ。
主観的な記憶をはっきりさせるのではなく、記憶についての主観的な忘却があったからこそ、戦後のヨーロッパは和解し、ヨーロッパ統合という新たな神話を作ることができた。』というのが彼の判断だった。」としています。
この「忘却」という言葉がキーワードになるわけですが、新たな記憶による忘却を期待するしかないのでしょうか。「記憶と忘却の二律背反」を解決することができるのでしょうか。戦争という最も悲惨な歴史を思い起こす必要がありそうです。