浅野ゆうじの独り言

社会・政治に関連する本の感想や日々の出来事についての私なりの考え方を書いています。

信頼社会にむけて

2010-06-16 08:31:42 | 日記・エッセイ・コラム

「安心社会から信頼社会へ~日本型システムの行方」(山岸俊男著・中公新書)を読んで、改めて、安心社会とは何か、信頼社会とは何かを考えさせられました。この副題が示すようにシステムの在り方が大きく影響するというとらえ方は、信頼という個に従属する考え方より、むしろ社会システムの影響が大きいという実証実験での証明は驚きでした。その社会システムが崩壊すれば、安心社会のみならず信頼社会も崩壊へとつながっていくわけです。まさにグローバル社会を迎える中、日本固有の社会システムの崩壊は、安心や信頼を損なっている大きな要因となっているのでしょう。欧米はもともと多様な民族の集合体で国が形成されているという経緯を考えれば、個人の自立とともに社会基盤となる信頼が形成されているといえます。一方日本は、単一の民族で社会形成がされたため、個人は組織の中に組み込まれ、その個人間の信頼度はあまり重要ではなかったようです。(聖徳太子の「和をもって貴しとす」を思い浮かべます。)明治維新、大正デモクラシー、太平洋戦争など海外の刺激を受けるたびに、社会システムは組織と個の葛藤があったような気がしてなりません。今、グローバル化の進展はまさに日本社会に刺激を与えているのだと思います。組織という縦軸があれば、個という横軸でうまく調和のとれた社会の構築を目指さなければならないのでしょう。

以上