浅野ゆうじの独り言

社会・政治に関連する本の感想や日々の出来事についての私なりの考え方を書いています。

地域主権と地域格差是正

2010-06-11 07:19:50 | 国際・政治

かつては「地方分権」と言っていた、国からの財源・権限を地方に委譲して自律的な自治運営をしていこうとする「地域主権」が進められようとしています。

国、地方ともに厳しい財政状況のなかにあって、画一的かつ限定されるひも付きの補助金制度では地方独自の政策を図ることができないことが、「地域主権」の流れの主な理由です。見方を変えれば、地方の自由主義的な競争によって、効率的な配分と財政規律を維持しようとするものであり、ともすれば地域格差を許容する考え方になります。従来の中央集権的な制度に比べれば、成熟した社会システムとして地域主権は間違っていないと考えています。しかし、地方の主体性と地域格差という二律背反の問題を考えたとき、どのような是正システムを持つのかはっきりさせるべきだと考えます。

国では、平成の大合併の後、システムの破たんが予想される医療制度や消防組織の広域化を図ろうとしていますが、基礎自治体と線引きされている限り、広域化のむずかしさは自治体の合併以上に難しい問題をはらんでいると思われます。単に机上の計算で、地域住民の意思を無視するような又上意下達の半ば強制的な広域化は、住民間の離反にもつながりかねません。しかも、行政の一部を広域化するということが、基礎自治体の全体行政に影響するということになれば、問題を安易に考えてはなりません。

繰り返しになりますが、地方の主体性を持つと同時に格差是正の理念とバックアップ体制をしっかりとしない限り、安易な地方主権や広域化をすべきではないと考えます。

以上