「話がよく分からないってどういうこと?」
「あの子は頭がいいから、いつもは理路整然と話すのに、きょうはしどろもどろではっきりしないのよ」
弥生は話そのものよりも、慎一が大きな悩みを抱えている様子が気になった。
内容は大体次のようなものである。
夕方、慎一が一人で家に居た時、母に掛かってくる男からの電話があった。母は留守ですと返事をすると、今日は君と話したかったのだ、とその男は答えた。
そして、できれば二人きりで会えないだろうか、いま近くに来ているから、と言ってきた。
慎一は断ったが、決して君の不快になる様な話はしない、少しでもよいから会ってほしい、お母さんに聞かせたくない事もある、と何度も熱心に頼むので、三鷹駅で待ち合わせる約束をした。
行ってみると、男は車から降りてきて、徳永です、と名乗った。
そして車に乗せて、私は小金井に住んでいるので、いまは誰も居ないから家にきてくれ、近いし帰りも送るから、と言って車を走らせた。
「それで、一緒に家に行ってしまったのね」
「そうなの、返事をする間もなく連れていかれてしまったんですって」
あの徳永という男が慎一に関心を持っている、別れた父親ではなかったのか、久美子は考え違いをしていた訳だが、自分の家に連れて行くとは。
「じゃあ、2日もその家に居たの?」
「そうなんだって、食事や買い物に出掛けた以外は家、マンションなんだけど、そこに居たって」
「なんで早く帰ってこなかったのかしら」
「居心地が良かったみたいよ、着替えも好きなブランドや欲しかったスニーカーまで買って貰ったって言ってたわ」
「それにしても電話位すればよかったのにね」
「その徳永さんからいろいろな話を聞かされている内に連絡しそびれた、そうなんだけど」
「何か、あの子らしくないわね」
「どうも、感じるものがあったみたい」
「あの子は頭がいいから、いつもは理路整然と話すのに、きょうはしどろもどろではっきりしないのよ」
弥生は話そのものよりも、慎一が大きな悩みを抱えている様子が気になった。
内容は大体次のようなものである。
夕方、慎一が一人で家に居た時、母に掛かってくる男からの電話があった。母は留守ですと返事をすると、今日は君と話したかったのだ、とその男は答えた。
そして、できれば二人きりで会えないだろうか、いま近くに来ているから、と言ってきた。
慎一は断ったが、決して君の不快になる様な話はしない、少しでもよいから会ってほしい、お母さんに聞かせたくない事もある、と何度も熱心に頼むので、三鷹駅で待ち合わせる約束をした。
行ってみると、男は車から降りてきて、徳永です、と名乗った。
そして車に乗せて、私は小金井に住んでいるので、いまは誰も居ないから家にきてくれ、近いし帰りも送るから、と言って車を走らせた。
「それで、一緒に家に行ってしまったのね」
「そうなの、返事をする間もなく連れていかれてしまったんですって」
あの徳永という男が慎一に関心を持っている、別れた父親ではなかったのか、久美子は考え違いをしていた訳だが、自分の家に連れて行くとは。
「じゃあ、2日もその家に居たの?」
「そうなんだって、食事や買い物に出掛けた以外は家、マンションなんだけど、そこに居たって」
「なんで早く帰ってこなかったのかしら」
「居心地が良かったみたいよ、着替えも好きなブランドや欲しかったスニーカーまで買って貰ったって言ってたわ」
「それにしても電話位すればよかったのにね」
「その徳永さんからいろいろな話を聞かされている内に連絡しそびれた、そうなんだけど」
「何か、あの子らしくないわね」
「どうも、感じるものがあったみたい」
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