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並木の丘 18

2007-05-14 20:17:17 | 並木の丘
国分寺から西国分寺にかけて、清流沿いの遊歩道が整備されており、江戸時代尾張徳川家のお鷹場に指定されていたことから、お鷹の道、と称せられている。
湧き水と木蔭が多い細い道は、夏でも比較的涼しく、野菜や果物を売られている場所もある。水辺で遊んでいる子供達の姿は、一世代前の夏休みを思い出させてくれる。
国分寺東側に数か所のハケ、と呼ばれる湧水群があり、このお鷹の道・真姿の池湧水群は、名水百選のひとつに選定されている。
久美子は一人で歩きたい時、万葉植物園のある西国分寺側から、殿ヶ谷戸庭園を観て国分寺に向かう、武蔵野を今も伝えるこのルートが好きだった。
前澤に依頼してから二週間過ぎて、久美子宛に書類が届いた。少し時間が掛かりましたがある程度役にたつと思います、と前澤のメモが入っている。
勝野千恵子は6年前に離婚、原因は元夫の女性関係で同じ会社の社員だった。元夫の年令は千恵子より7つ年上で現在45才、その女性とは再婚しておらず、独身との事、離婚した翌年会社を辞め、社員20名程度の商事会社に再就職して現在に至っている。
千恵子が本格的にいけばなを教える様になったのはここ3年程で、結婚していた時期は専業主婦だった。
大学を卒業して3年間はスチュワーデスをしており、その後結婚してすぐに長男の慎一が生まれている。英語と中国語の会話が出来る、と記されている。
かなりインテリだな、と久美子はあの控えめで古風な感じの彼女からは想像しがたく、驚きの目で調査報告書を読んでいた。
更に以外に思ったのは、熱海で一緒に居た男性は元夫である、という文面を見た時だった。
よりが戻ったのだろうか、しかし再婚の話が具体化されている今の状況で何か不自然だ、やはり直接相対するしかない。
久美子は改めて自分の考えや気持ちをストレートに伝えるべく、弥生が初めておはなを習う日に付き添って行く決心をした。

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2 コメント

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はじめまして。 (聖蹟桜ヶ丘 マンション)
2007-05-22 22:33:36
聖蹟桜ヶ丘の地域情報サイトです。
お出かけ、グルメ、マンション購入などの情報があります。
多摩地区の描写がリアルで素敵ですね。
創作活動の参考になるかどうかわかりませんが、よろしければ是非ご覧ください。
http://itot.jp/seiseki/
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多摩の魅力 (ytmom05)
2007-05-23 21:18:59
コメント有難うございます。
仕事の関係で、いまはペースが落ちていますが、時間を見つけて続けて行きたいと思っています。
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