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フクロウの街 19

2017-09-17 09:57:43 | ヒューマン
緒方靖子という女性は一体なにものか、山路は段々迷路に踏み込んでいくようで、理解できないでいた。

仕事が終わって用事がなく思案していると、靖子の方から誘いの連絡がきた。
「山路さん、私旅先で不思議な方にあったのよ」
「どうゆうひとなの?」
「何ていうか40代の男性なんだけと、以前会ったような、もちろん会った事はないのよ、でも知り合いみたいで」
「懐かしいような」
「そうよ、何で分かるの?」
「そうゆう人いるんですよ、前世からの繋がりかも知れない」
「山路さん、オカルト趣味があるんですか?」
「そうじゃないけど、理屈ではわからない事って世の中多いから」

靖子が勤め始めた貿易会社は台湾、中国、ロシアを相手にしていて、彼女にとっては知り尽くした国ばかりで、すぐにでも出張させて貰いたい気分になっていた。
彼女は営業部勤務で、取り引き先の接客係も兼任させられていた。
そうしたある日、台湾に本社がある貿易会社の依頼で法律事務所の関係者と会う予定が入り、待機していると11時丁度にやって来て、受付から廻されてきた名刺をみると村井修一となっている。
「村井さん、奇遇ですね」
「いやぁ、まさか緒方さんとこうした形で再会できるとは・・いつ連絡しようかとずっと思っていたのですよ」
「私も気になっていましたけど、共通の仕事で繋がりましたね」
話が進み、夜近くで軽く呑もうと決まった。 
24時間営業の居酒屋が新しく出来ていたので、中に入ってみると時間が早かったせいか、奥の団体が盛り上がっているだけで空いていた。
焼鳥が50円からある。
一杯目生ジョッキ(中)0円なので早速頼んでみた。
「村井さん、私達本当に遠い親戚か何かじゃないんですか?」
「・・私の父は10年前に亡くなりましたが、間際に、実はもう一人血縁関係者がいるといって逝きました」
「その方の名前は?」
「それが、聞き取れなかったのです」