「慎一には申し訳ない、としか言いようがありません、あの子は頭も感受性もよく、話さなくても大概の事は理解しています、私が我慢して離婚せず、形だけでも夫婦のままでいた方が将来の為によかったのかもしれませんが、夫の会社が倒産に追い込まれた時点で、明日からの生活にも困る様になり、夫も離婚した方が私に負担が掛からなくていいと言ってくれましたので、そうしました・・・慎一は夫と私の大事な子供、それはこれからもずっと変りません」
千恵子はそれ以上なにも語ろうとしなかった。
日曜日の昼前、弥生は好きな自宅近くの公園を久美子と二人で歩いていた。
「健吾さんは大丈夫?昨日千恵子さんから正式に婚約解消の連絡がいったと思うけど」
「電話があったわ、短かったけど」
「そう、予期していたんでしょう」
「叔母さん、一昨日会って全部聞いてきたのでしょう、それで慎一君の事分かったの?」
「慎一は夫と私の大事な子供だと言ってたわ、鑑定をした訳ではないからね」
「でも、慎一君の話し振りだと、徳永さんは・・」
「それは、あの子個人の問題じゃない、これからの、私達は見守ってあげるしかないのよ、あなたはお姉さん的友情でね」
「友情ねえ」
「お姉さんになって欲しいって言われたんでしょ」
「まあ、そうだけど」
「せめて、若いあなた達は続いていって欲しいのよ」
「叔母さん、引越しを考えているんでしょうけど、遠くに行ったりしないわよね」
「最初は新宿に戻ろうと思っていたのだけれど」
「叔母さんは桜ヶ丘が似合っているわ」
「私も並木の丘を離れがたくなってきたから、近くで仕事をみつけるわ」
「そうよ、それが一番よ」
「健吾さんが寂しがっているでしょうから、これから三人で南大沢にランチを食べにいきましょう」
弥生の家に向かって行く二人の肩に、9月の風が後押しをしていた。
-ご愛読有難うございました-
千恵子はそれ以上なにも語ろうとしなかった。
日曜日の昼前、弥生は好きな自宅近くの公園を久美子と二人で歩いていた。
「健吾さんは大丈夫?昨日千恵子さんから正式に婚約解消の連絡がいったと思うけど」
「電話があったわ、短かったけど」
「そう、予期していたんでしょう」
「叔母さん、一昨日会って全部聞いてきたのでしょう、それで慎一君の事分かったの?」
「慎一は夫と私の大事な子供だと言ってたわ、鑑定をした訳ではないからね」
「でも、慎一君の話し振りだと、徳永さんは・・」
「それは、あの子個人の問題じゃない、これからの、私達は見守ってあげるしかないのよ、あなたはお姉さん的友情でね」
「友情ねえ」
「お姉さんになって欲しいって言われたんでしょ」
「まあ、そうだけど」
「せめて、若いあなた達は続いていって欲しいのよ」
「叔母さん、引越しを考えているんでしょうけど、遠くに行ったりしないわよね」
「最初は新宿に戻ろうと思っていたのだけれど」
「叔母さんは桜ヶ丘が似合っているわ」
「私も並木の丘を離れがたくなってきたから、近くで仕事をみつけるわ」
「そうよ、それが一番よ」
「健吾さんが寂しがっているでしょうから、これから三人で南大沢にランチを食べにいきましょう」
弥生の家に向かって行く二人の肩に、9月の風が後押しをしていた。
-ご愛読有難うございました-