無音に近い環境の中、二人の息遣いが次第に荒くなるのがよけい情感を高揚させた。
寺井は着物の上から探っていたが、昔風の着付けで、腰巻の下は何も着けていなかった。
暴力的ともいえる程一直線に進み、今までの二人では経験した事のない荒々しい行為に及んだが、彼女もそれを望んでいる様な受け入れ方で一つになっていった。
外はいつの間にか雪が降り出していた。
17時過ぎに部屋の電話が鳴った。
「きっと女将さんだわ」
春子はそう言うと受話器を取り、相槌を打ったり返事をしている。
着物の合わせをきちんとすると急に恥ずかしそうな顔になり、
「あの、もうすぐ挨拶に伺いたいと言ってますが、いいですか」
と遠慮気味に聞いてきた。
「僕はいつでも構わないよ」
30分程すると女将が現れた。
「初めまして、女将の菊千代でございます」
老舗の女将だから、貫禄充分な肥った女性を想像していたのだが、気のいい、近所の明るいおばさんの雰囲気で、寺井はほっとした。
「春子さんから色々伺っております、忙しい中この子の為に来て頂き、本当に有難うございます」
「僕の事、どんな風に話しているのですか?」
「どんなといっても・・・どうしよう、春子ちゃん」
「女将さんは人を見抜く力が鋭いから、私大体話しちゃったの」
「そ、そうなの、あの、まあ少し事情も有りまして」
「分かっております、ここだけの話にしておきますので、安心してごゆっくりなさってください」
「恐れ入ります」
「春子ちゃんは評判よろしいんですよ、このあいだも芸者さんに混ざって宣伝用の写真のモデルになって貰ったんですの」
「着物姿で?」
「そうなんです、この着物も似合うでしょう、私が丁度女盛りの頃作って頂いたものなんです」
「何か特別な、良い思い出でも有りそうですね」
寺井は着物の上から探っていたが、昔風の着付けで、腰巻の下は何も着けていなかった。
暴力的ともいえる程一直線に進み、今までの二人では経験した事のない荒々しい行為に及んだが、彼女もそれを望んでいる様な受け入れ方で一つになっていった。
外はいつの間にか雪が降り出していた。
17時過ぎに部屋の電話が鳴った。
「きっと女将さんだわ」
春子はそう言うと受話器を取り、相槌を打ったり返事をしている。
着物の合わせをきちんとすると急に恥ずかしそうな顔になり、
「あの、もうすぐ挨拶に伺いたいと言ってますが、いいですか」
と遠慮気味に聞いてきた。
「僕はいつでも構わないよ」
30分程すると女将が現れた。
「初めまして、女将の菊千代でございます」
老舗の女将だから、貫禄充分な肥った女性を想像していたのだが、気のいい、近所の明るいおばさんの雰囲気で、寺井はほっとした。
「春子さんから色々伺っております、忙しい中この子の為に来て頂き、本当に有難うございます」
「僕の事、どんな風に話しているのですか?」
「どんなといっても・・・どうしよう、春子ちゃん」
「女将さんは人を見抜く力が鋭いから、私大体話しちゃったの」
「そ、そうなの、あの、まあ少し事情も有りまして」
「分かっております、ここだけの話にしておきますので、安心してごゆっくりなさってください」
「恐れ入ります」
「春子ちゃんは評判よろしいんですよ、このあいだも芸者さんに混ざって宣伝用の写真のモデルになって貰ったんですの」
「着物姿で?」
「そうなんです、この着物も似合うでしょう、私が丁度女盛りの頃作って頂いたものなんです」
「何か特別な、良い思い出でも有りそうですね」