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光の風☆★

~画家すずきゆきおの世界~
 夢と希望に癒しの芸術を
生み出す画家の日々の、つぶやき

雑感22(詩)

2014-07-19 | ポエム
若い時は既成の権力に対して、その是非を深く考えるというよりも、
旧世代の大人が築いた社会に「ノー!」と言いたい時期でもある。

すくなくとも私はそうだった。
20歳前後の頃は「人生とは何ぞや?」とか、
今、思うとずいぶんと青くさくて未熟であっても、
純粋な心持で悩み、そして希望を持ったり、
心の振幅は大きかったような気がする。

以下、44年前の私の詩です。

安保、万博、三島事件、
1970年は激動の時代でした。

<のっぺらぼう>

世塵は 光の中に漂う埃の
枝という枝を かくも大事に育み
光という光を忘れさり

そして その渦の中で
男は時に刻まれ顔を形成するという
天然無垢の青空の下で残酷にも
顔を磨くという

目玉の乾いた鼻も口も耳も見あたらない
のっぺらぼうの顔の底なしの唄が
始まると言う

いたずらに時を積みかさね
欲望のエスカレーション
ブラボウ ブラボウ 過ぎ去った日々よ

夜明けが始まる
新たな底なしの唄が始まる

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中原中也の詩?

2014-05-24 | ポエム
先ほどの松坂屋上野店の個展で、
すずきさんの絵を見ていると、
中原中也の蝶の詩を思い浮かぶと感想を言った人がいた。

このご婦人は私の個展にご来場いただくのは、
ここ10年の間に今回で3回目。

そのたびに中原中也の蝶の詩と言っていたのを思い出したが、
あまり気にしていなかった。

しかし3回も同じ感想を聞くと、
さすがに気にはなるものです。
私が中原中也の詩をあまり読んでいないこともあって、
どの詩だろうかと探す気にもならなかったが、

何という題の詩ですか?

訊いておけば良かったと思ったのはあとの祭り。

国語の先生をしている感性豊かと思われる
ご婦人の感想を、
どの詩なのかと気になり探し出した。

もしかして、これだろうか?

「一つのメルヘン」

秋の夜は、はるかの彼方に、
小石ばかりの、河原があって、
それに陽は、さらさらと
さらさらと射しているのでありました。

陽といっても、まるで硅石か何かのようで、
非常な個体の粉末のようで、
さればこそ、
さらさらと
かすかな音を立ててもいるのでした。

さて小石の上に、
今しも一つの蝶がとまり、
淡い、それでいてくっきりとした
影を落としているのでした。

やがてその蝶がみえなくなると、
いつのまにか、
今迄流れてもいなかった川床に、
水は
さらさらと、さらさらと流れているのでありました.....

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聖マチスの死!

2013-02-03 | ポエム
詩人の永見七郎さんに一度だけ会ったことがある。
私が高校生で詰め襟の坊主頭だった時、永見さんが60歳を少し越えた頃です。
かなり老人だった印象がある。

私も今や、若い人からすると同じような風貌ということか?
同じような年齢になっているのだから当然でしょうが。

永見七郎さんは武者小路実篤を生涯にわたって師事した
「新しき村」の詩人です。
澄んだ詩を書く真正の詩人だったと私は思っており、
大好きな詩人です。

今日、本棚から詩集「遠い星」を、ふと手にして開いたところのページから
以下に紹介です。

「聖マチスの死」

マチスはもう85歳だった
病は重かったが
彼はその日まで画を描いていた

ひとりのシスターが
「聖体拝授をなさいますかー」
と聞いたとき
彼は答えた
「私は為す可きことをして来ました、
その他のことはしたくありません....」

シスターはちょっと困ったようだったが
やがて微笑しながら出ていった
(本当に頑固なお爺さんだー)

入れかわりにはいって来た人があった
イエス、キリストだった

マチスはおどろいて
ベットからおりるとひざまづいた
彼が涙を流しているのをみると
キリストは彼の頭に手をのべ
静かにおっしやった

「眼をつぶりなさい
お前の仕事はお前を救ったー」

翌日、マチスは画を描かなかった
そして安らかに死んだ

この詩集は1978年新しき村発行、500部限定
永見七郎さんを尊敬していた島村豊氏から、
1996年の私の個展のさい頂いたものです。

お二人とも故人です。

私は永見七郎さんのハガキを4枚大事に保管しています。


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今、「龍さん」にはまっている!

2013-01-07 | ポエム
先般、105円で買った本のお得を書きましたが、
その続きで、105円で買った本のお得のことを書きます。
ブックオフで買った村上龍の「5分後の世界」を買ったのも105円のお得でした。
それもハードカバーの単行本ですから、お得もお得でした。
「5分後の世界」想像以上に、すごい本でした。
今の日本とは違うパラレルな世界があるという設定。

勇気とプライドを持つ、
26万人の日本人達がアンダーグランドに住んでいて、
第二次大戦後の今も、アメリカ、ソ連、中国、イギリス、国連軍、の理不尽な行為に対しては、
果敢にゲリラ戦術で挑み、
アジア、中南米等の世界から絶大な信頼を得ている。
連合軍による日本4分割の計画があったことを下書きにしていると思う。
そして戦後、そうなった状態を想定しての、
その結果としての物語です。

アンダーグランドの日本人は、
武だけが優れているのではなく、
世界中が理解できる方法と表現で、
勇気とプライドを示して、文化、芸術、科学、経済も独自に発展している。
現代の日本人とは対極とも思われるほどの高潔さを持っている。

でも、戦闘の場面の残虐な描写の生々しさは壮絶すぎる。
たんなる理想郷ではないということです。
この小説である、キーワード、「勇気とプライド」が気にいりました。

その後、同じく村上龍の小説をやはり105円で買いました。
「半島を出でよ(上)」「半島を出でよ(下)」
「希望の国のエクソダス」
それぞれハードカバーの単行本で、105円のお得でした。

「半島を出でよ(上)」「半島を出でよ(下)」は、
北朝鮮のゲリラが福岡県に上陸するところから始まり、
あるかも知れないと思わせるリアルな展開で、
終幕のところでカタルシスを感じた。

ゲリラ進入に、
有効な手を打てずにいる政府を書いているところは、
まるで原発事故の対応で右往左往した政府の、
あの姿そのものだと思った。
2005年の作ですから、先見の目があるというのでしょうね。

「希望の国のエクソダス」は、
登校拒否の中学生達がインターネットを使って、
希望の無い社会に、
反抗して新しいシステムを作るという話し。

私は、村上龍という作家に誤った先入観で、
アナーキーな時流に乗っただけの、
作家だと思っていましたが、
とんでもない誤った先入観を持っていたことを恥じます。

日本にスゴイ作家がいるという喜びがあります。
私の親戚のノンフィックション作家の安田峰俊が、
親近感と尊敬の気持ちをこめて、会話の中で、
「龍さん!」と言っていたので、私も「龍さん!」と言ってみたい。
ということで、今、私は「龍さん!」にはまっている。

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晩秋に!

2010-11-19 | ポエム
紅葉を楽しめる季節になりました。
マロンとの、いつもの散歩コースの写真です。
横浜という都会にいながら
四季おりおりの風情を楽しめるのも、
有り難いことで、
私の制作のヒントが散歩の中に密やかに隠されていたりする。

先日、ブレーカーが突然下りたような状態と書きましたが、
それはそれとしても、貧乏性なのか、
ペースを落としながらも制作をしている。
制作をしながらプレーカーを少しずつ上げようと、
気づかぬ内に、そう、気づいたら晩秋を迎えていたようにブレーカーを
上げていくつもりです。

この晩秋の季節になると、
若い時は、通人ぶって熱燗が美味しくなるなんて言いたかったものだが、
今は、酒はどのように飲んでも季節を問わず美味しいものだと思う。

秋の季節に一度は思い出す詩人がいる。
八木重吉です。

その詩を以下に紹介します。

「白い雲」

秋のいちじるしさは
空の碧(みどり)を つんざいて横にながれた白い雲だ
なにを かたっているのか
それは わからないが
りんりんと かなしい しずかな雲だ


「おおぞらの こころ」

わたしよ わたしよ
白鳥となり
らんらんと 透きとおって
おおぞらを かけり
おおぞらの うるわしい
こころにながれよう


「素朴な琴」

この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美しさに耐えかね
琴はしずかに鳴りいだすだろう


八木重吉の詩ほど澄んだ心を表わしたものはないのではないか!
高村光太郎が
大正の末か昭和のはじめ、あんないい、せつない、星のような詩人が居たと
思うとがさつな気持が静まるというようなことを、
言っていたそうです。

30歳で夭折した、
敬虔なクリスチャンの詩人です。

晩秋の季節になると、
かつて読んだことがある八木重吉の詩を、
一度は思い出すのは、
秋の美しさに呼応した詩だからかもしれない。

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