山谷えり子 国家公安委員長
2015年5月15日
志布志事件 国家賠償命令「供述強制・違法な捜査」
2003年の鹿児島県議選を巡る買収無罪事件(志布志事件)で、無罪が確定した同県志布志市の住民と遺族計17人が、国と県に総額2億8600万円(住民1人当たり2200万円)の支払いを求めた国家賠償請求訴訟の判決が15日、鹿児島地裁(吉村真幸 裁判長、川崎聡子 裁判長代読)であった。
地裁は県警の捜査と検察の起訴などの違法性を認め、国と県に対し連帯して、住民1人当たり460万円、総額5980万円を支払うよう命じた。
地裁は、県警の捜査について「警察官が執拗な尋問を繰り返し、不相当な誘導で原告に供述を強制したことなどは社会通念上許されない。
体調不良を訴えた原告の帰宅を認めず、ベッドで取り調べた行為などは違法」と指摘。
虚偽の自白を得ようとした原因を「事件の筋読みを誤り、それに沿う事実の聞き取りを(当時の)県警志布志署長らが指示したため」と判断した。
検察については、住民らが全員否認に転じた以降、買収の嫌疑に沿う証拠が得られる見込みが残されていなかったにもかかわらず、起訴を続けたと批判。
「全証拠を勘案しても有罪を期待できない状況で漫然と裁判を続けたのは違法で過失がある」と判断した。
さらに、住民らの勾留の取り消しを裁判所に請求すべきだったと言及した。
志布志事件では、13人が公選法違反(買収、被買収)で起訴された。
鹿児島地裁は07年2月、起訴後に死亡した1人を除く12人に無罪を言い渡し、確定した。
12人は同年10月に提訴し、係争中に1人が死亡したため、現在の原告は、03年の県議選で当選した中山信一氏ら無罪が確定した11人と、遺族6人。