斬剣次郎の鉄道・バス斬り

 拙者、斬剣次郎である。たった今から、鉄道・バスを斬る

Smart BESTとハローキティ和歌山号

2014年10月08日 21時23分36秒 | 鉄道
 近畿車輛が開発を進めている充電型バッテリー電車である
 Smart BEST
 が期間限定で串本~新宮間においてハローキティ和歌山号として運行されており、そこに乗車してきましたのでレポートします。Smart BESTの車両はDGBC2系と呼ばれ、車両にはその表記があります。



 新宮方先頭車で1号車となる
 DGBC2B-1
 です。これは電車でいえばTc車に当たる車両で、ディーゼルエンジン、補助電源装置などが搭載されています。この車両に搭載されたディーゼルエンジンで発電し、その電気でモーターを動かして走るという形になります。窓配置とクーラーが各車によって異なり、DGBC2B-1は窓位置が225系ベースで、クーラーが集中式の1基のみになっています。



 串本方先頭車で2号車となる
 DGBC2A-1
 です。これは電車でいえばMc車に当たる車両で、バッテリーとVVVFインバータ制御が搭載されています。そのため、床下にはバッテリーが見えます。窓配置とクーラーが各車によって異なり、DGBC2A-1は窓位置が扉間2枚で、クーラーがセミ集中式の2基になっています。


 Smart BESTは近畿車両で開発を進めていることから、先頭形状は225系ベースになっており、運転台も高運転台になっています。しかし、先頭形状は平面となっている事がポイントです。貫通扉上にLED式行先表示器が付いています。




 車内です。座席は221系と似たタイプの転換クロスシートを山側、窓側に向けたベンチシートを海側に配置した構成になっています。これはハローキティ和歌山号の運転に向けて改装したもので、海側への展望を意識したような感じです。因みにハローキティ和歌山号は全車指定席ですが、指定される座席は全て山側のクロスシートで、ベンチシートはフリースペースという感じです。





 DGBC2系は3扉車ですが、ハローキティ和歌山号では2扉車として使われるため、中央の扉は閉鎖され、山側には座席、海側にはベンチシートが設置されています。ただ、窓配置の変更を行っていないため、山側の座席には位置によって窓が無いという状態が発生しています。3ABとか・・・。
 尚、扉部分にはロール式カーテンが取り付けられましたが、取り付けに当たって接着剤を使用しているようです(下の写真)。でも、扉を埋めたわけではないので、ドアは開きませんという注意書きがありました。


 DGBC2A-1の車端部には便所が設けられています。便所は車いす対応の大型のものになっていますが、225系のような丸側ではないようです。便所は元々なかったものがハローキティ和歌山号の運行に合わせて取り付けたようで、1つの窓と扉が閉鎖されています。



 DGBC2B-1の車端部です。車端部には横向きシートと機器スペースが設けられています。横向きシートは元々あったものをそのまま使っているようですが、指定席には入っていないようで、フリースペースのような感じになっていました。機器スペースは試験車の運命なのか所々設けられていました。


 運転台の後ろです。基本的に225系とほぼ同じですが、助手側に窓がありません。多分、機器スペースになっていると思います。そして海沿いを走る関係で避難用はしごが置かれていました。それだけでなく、運転室後部にキティちゃんのぬいぐるみが多数置かれていました・・・。



 DGBC2系の側面行先表示です。JR西日本の車両をベースにしているようで、行先表示と種別表示の2つが付いていました。でも、両方ともLED表示でしたが、字体がJR西日本のと異なり、ゴシック字体でした。でも、レイアウトとカラーはJR西日本に合わせてました・・・。


 新宮駅のハローキティ和歌山号の表示です。ハローキティ和歌山号は串本~新宮間を2往復しており、快速列車扱いで運行されています。ベースは新宮のようで、新宮を起点に2往復しているという感じです。


 ハローキティ和歌山号が停車する駅にはホームに専用の乗車目標が設置されていました。9月から12月までの期間限定ながら専用のものが用意されるとはかなりの積極的ですね・・・。あと、キティちゃんがJR西日本の制服を着ていますね・・・。




 DQCB2系では各車に2台ずつLCD表示が付いており、パワーフロー情報が表示されていました。一番上が停車状態で、エンジンと発電機は停止状態でバッテリーからインバータへ電気を送っている状態です。真中が力行状態で、エンジンを動かして発生した電気をバッテリーとともにインバータへ送っている状態です。ただ、エンジンが動くのはバッテリーが少ない状態の時のみです。停車状態と力行状態で電力の消費量に差があり、もちろん力行状態が一番浪費します。下が減速状態の時です。モーターから発電した電気を回生装置でバッテリーへ充電しています。そのため、真ん中の力行状態の時よりバッテリーの残量が増えている事がわかります。
 つまり、Smart BESTは基本的にバッテリーの電気で動き、足りない時はエンジンで補うという感じになっている事がわかります。


 串本に到着したハローキティ和歌山号です。そのまますぐに折り返します。

 Smart BESTは充電型バッテリー電車ですが、基本的にバッテリーのみで動くので、環境によく、更に電車とほぼ変わらない性能なので、今後の普及に期待したいところです。乗り心地もそんなに悪くなかったし・・・。
 以上です。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ERGA280)
2014-10-09 21:24:26
JR東日本のキハE200系などハイブリッド気動車同様のシリーズ式ハイブリッドシステムを搭載しているようですが後発なだけにバッテリーの持続性能はこちらの方が更に伸びているような感じですね。2両編成でトイレ付3扉の車両と地方での通勤輸送も意識した仕様で近畿車輛としては非電化区間の高速化の為に新型気動車を導入したものの未だにキハ40の運用が残る山陰本線等での採用を意識しているのかも知れませんね。
Unknown (斬剣次郎)
2014-10-10 01:15:13
 ERGA280様
 コメントありがとうございます。

 キハE200系には乗車したことがありますが、今回のSmart BESTの方が上のような感じでした。後発なだけに無駄なスペースもなかったような気がします。
 試験車両が3扉ということはおっしゃる通り非電化区間の通勤輸送を意識しているのかもしれませんが、JR西日本管内は国鉄車両が多いだけに代替に当たってバッテリー電車の導入もありうるかもしれませんね。
Unknown (そら太郎)
2014-10-13 17:47:37
初めて書き込みさせて頂きます。
スマートベストの記事、興味深く読ませて頂きました。
振動や騒音等、通常の気動車、電車と比べて気になった点とか有りましたでしょうか?

今回実際の運行に使用されるレベルでも近畿車両は実用化まで10年近く掛かると言っているみたいなので、おそらくコストや耐久性等の問題がまだ有ると思いますが、早期に実用化される事を期待したいですね。
Unknown (斬剣次郎)
2014-10-14 01:22:59
 そら太郎様
 コメントありがとうございます。

 初めまして。
 Smart BESTですが、気動車と比べるとずいぶん静かでした。特に減速時や停車時ですね。
 バッテリー電車などは実用化に向けて色々研究してきて、試験走行そして実際に乗客を乗せて運行まで来ているので、ひょっとしたら実用化も近いかもしれませんね。

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