平和安全法制 識者に聞く
元防衛相 森本 敏 氏
―先日の衆院憲法審査会では、憲法学者が平和安全法制関連法案を「違憲」と指摘しましたが。
憲法学者の意見はどうであれ、国は領土や国民を守る義務を負う。自衛権について当初は、他国の防衛を目的とした国際法上の集団的自衛権行使を認める考えもあったようだが、これでは憲法解釈の枠を超えてしまう。
そこで、公明党が法制局などの意見を参考にして与党協議を通じて、憲法解釈の範囲に収まる「日本の自衛のための武力行使に限る」という制約を強く主張し、実現させる役割を果たした。その方針に基づき新3要件など複数の制約要因を設けることができた。公明党が与党協議などで示した制約が、平和安全法制の法体系をバランスの良いものにしたのであり、現在の法制は従来の憲法解釈の枠を超えるものではないと思う。
こうした公明党の役割は本来、野党第1党の民主党がやるべき仕事だった。健全な野党とは、ただ「反対」するだけではなく、「あるべき国の姿を示すため健全な批判者」としての役割も求められる。民主党にはそれができておらず、ある意味、公明党が与党内野党となって、その責任を果たしてきたといえよう。
―野党側は今回の法整備に反発しています。
自衛隊の活動についてリスクの「ある」「なし」を論じることは意味がない。大事なことは、リスクを減らすため、いかに効果的な措置を十分に講ずることができるかにある。そのためには行動基準を見直し、マニュアルを改定して訓練を行い、現地の情報を十分に得る手段を設け、指揮官が適切な判断をし、派遣される隊員が高度な士気の下で任務を遂行できる。これらの措置を取って、リスクを未然に防ぐことができる。野党は「リスクを減らすために、これから何をどうするのか」と質問すべきだ。
自衛隊による他国軍隊への支援活動についても、現に戦闘が行われている現場では行わないということを確保しつつ、任務を遂行する仕組みになっているのに、「米軍の戦闘に巻き込まれる」という批判を繰り返すことは、法案を十分に理解しておらず、国民の不安を煽るだけの、ためにする議論としか思えない。
(公明6.11付)
元防衛相 森本 敏 氏
―先日の衆院憲法審査会では、憲法学者が平和安全法制関連法案を「違憲」と指摘しましたが。
憲法学者の意見はどうであれ、国は領土や国民を守る義務を負う。自衛権について当初は、他国の防衛を目的とした国際法上の集団的自衛権行使を認める考えもあったようだが、これでは憲法解釈の枠を超えてしまう。
そこで、公明党が法制局などの意見を参考にして与党協議を通じて、憲法解釈の範囲に収まる「日本の自衛のための武力行使に限る」という制約を強く主張し、実現させる役割を果たした。その方針に基づき新3要件など複数の制約要因を設けることができた。公明党が与党協議などで示した制約が、平和安全法制の法体系をバランスの良いものにしたのであり、現在の法制は従来の憲法解釈の枠を超えるものではないと思う。
こうした公明党の役割は本来、野党第1党の民主党がやるべき仕事だった。健全な野党とは、ただ「反対」するだけではなく、「あるべき国の姿を示すため健全な批判者」としての役割も求められる。民主党にはそれができておらず、ある意味、公明党が与党内野党となって、その責任を果たしてきたといえよう。
―野党側は今回の法整備に反発しています。
自衛隊の活動についてリスクの「ある」「なし」を論じることは意味がない。大事なことは、リスクを減らすため、いかに効果的な措置を十分に講ずることができるかにある。そのためには行動基準を見直し、マニュアルを改定して訓練を行い、現地の情報を十分に得る手段を設け、指揮官が適切な判断をし、派遣される隊員が高度な士気の下で任務を遂行できる。これらの措置を取って、リスクを未然に防ぐことができる。野党は「リスクを減らすために、これから何をどうするのか」と質問すべきだ。
自衛隊による他国軍隊への支援活動についても、現に戦闘が行われている現場では行わないということを確保しつつ、任務を遂行する仕組みになっているのに、「米軍の戦闘に巻き込まれる」という批判を繰り返すことは、法案を十分に理解しておらず、国民の不安を煽るだけの、ためにする議論としか思えない。
(公明6.11付)