アンコウ物語

徒然なるままに

除染の効果

2012-02-06 21:41:51 | 原発事故

少し古い話ですが、昨年12月中旬に福島第一原発事故の警戒区域内に
ある双葉郡楢葉町で除染が行われその結果が報告されております。この
除染は町役場の敷地内を対象として環境省の方針に従い、自衛隊によって
実施されました。以下はその内容です。

1. 除染方法
   アスファルト   : ブラッシング+高圧洗浄
   石畳舗装     :  石の隙間の泥・苔の除去
               ブラッシング、高圧洗浄
   植栽部      : 除草、芝生・落ち葉除去
   側溝        : 汚泥除去、ブラッシング、高圧洗浄
   建物        : 屋上、ベランダ、非常階段の清掃、高圧洗浄

2. 除染結果 (平均値) (高さ1mで測定)
                除染前         除染後
   アスファルト    : 0.77μSv/h    →  0.50μSv/h
      車庫(屋根下)    : 0.47       →  0.35
      建物(屋上)     : 0.29       →  0.24
   建物近傍      : 0.41       →  0.32

この結果でわかる通り、除染をしても線量は半分にも減少しません。
これは、一旦コンクリートや建造物に付着した放射性物資は簡単に
取り除けないことを示しております。叉、今回は町役場内だけの除染
だったので、除染していない役場の周辺はこれより高い線量となって
おります。従って、除染後の降雨や風の影響で折角除染した町役場内が

元の線量に戻ることも懸念されております。

この自治体は町役場以外に数ヶ所で除染を行い、この結果を参考に

今年の4月以降、町内全ての地域の本格的な除染を行います。この
場合、居住地域を優先的に行い、山林は林縁から20メートル範囲内に
限り、森林内に堆積した落葉や枝葉等の除去を行うことにしております。 

通常山林は傾斜地であり、林縁から20メートルだけ除染してもその後の
風雨で高い所から放射性物資が落ちてきて元の状態になることは誰でも
想像出来ます。効果のないことが事前に分かることをなぜ環境省は
やるのか。このような作業は初めての経験とは言え、あまりにも知恵が
無さすぎます。効果が上がらなければ再度除染を行う必要があり、国費の
無駄使いの何ものでもありません。多くの避難者が待ち望んでいる自宅への
帰宅は更に遅れるものと落胆せざるを得ません。