先月、市役所が貸し出しをしているガイガーカウンターを、
友人が借りて来て今住んでいる家の周りの放射線量を測定して
呉れました。全部で9か所を測定しましたが、その結果、
一番高い場所は屋根の半分程の面積の部分に降る雨が集まる
雨樋の下が一番高く、地上50センチ高で0.51マイクロシーベルト
(μSv.)/hありました。次に高い部分が下水溝で0.34μSv/h、
他の7ヶ所は0.16から0.19μSv/hでした。家の中では一番長い
時間を過ごす居間が0.10μSv/hありました。雨樋の下を通る
時間は一日10分以下なので、この家での被曝量を全体で0.2μSv/h
以下と推定できます。このままの状態で除染せずに、一日当たり
8時間を家の外で過ごすと仮定しても、一年間の被曝量は、1.05
ミリシーベルト(mSv)以下となります。実際は一日8時間も家の
外に居る事はないので被曝量は1mSv以下となるでしょう。
しかし、この数値は何を示しているのか良く分かりません。
年間の被曝量が1.05mSvは除染しなくても安全なのか。
環境省は昨年12月14日に、東京電力福島第一原発の事故で
汚染された地域のうち、除染地域に指定する基準や汚染土の
保管・運搬方法について、放射性物質汚染対処特措法に基づく
省令として決定しました。省令では、毎時0.23マイクロ
シーベルト以上が検出された地域を除染することや、放射性
セシウムが1キロあたり8千ベクレルを超えた下水道の汚泥や
焼却灰は、国が処理する指定廃棄物とすることを定めております。
0.23μSv/hの汚染地が除染の対象になるのであれば、それは
健康に影響を与えるとの考え方から行うもので、我が家の様に
その数値に限りなく近いけれどもそれ以下の被曝量は除染の
対象外と云う決定は理解出来ません。
政府、原子力安全保安院、電力会社や原子力専門学者などの関係者も、
放射性物資被曝の影響を理解しているとは思われません。広島・長崎の
原爆、第五福竜丸の被曝、チェルノブイリの原発事故、その他多くの
原発事故などからどれだけの知見が得られたのか。どれだけの被曝量で
いつ、どのような健康被害ガ出てくるのか明快に報告されたものが
ありません。昨年12月に聴いた原発講演会での専門家の話でも、
聴講者の質問に対してことごとく、[断定出来ない]、「影響があるか
ないかは断言できない」と云うような回答が大部分でした。
除染方法についても不明な点ばかりです。以前の報道では、福島市の
果樹園の除染の状況が報告された際、果樹の木、一本一本の樹皮を
薄く削り取っている様子がありました。こんな方法では広範囲に
汚染された山林の樹木の除染は何百年も掛るでしょう。高圧水を
使った屋根の除染がありましたが、高圧水が当たる部分は精々1~2センチ
四方の範囲なので屋根全体をこの方法で除染すれば途方もない時間が
掛ります。被曝の影響、除染方法、汚染物資の処理方法や場所など
福島第一原発事故から既に10カ月経過した現在でも不明な事が
多すぎます。