今回は、10月の谷川岳での空見ハイキング中に見られた波状雲(はじょううん)についてです。
写真1 谷川岳上空の波状雲(はじょううん)
波のように縞々の雲ですね。これを波状雲(はじょううん)と言います。
この雲は重力波によってできます。重力波ってあの?そう、あのアインシュタインの相対性理論で説明されていますね。
重力波は身近な所でも起きています。例えば、下の写真のように、誰でも水面に波紋が広がるのを見たことがあるでしょう。
写真2 水面に生じた波
こちらも重力波によるものです。空気と水という異なる性質のものの境界面に発生する波のことです。
同じようなものに、海で発生する波があります。
この重力波は空気中でも起きています。下の図のように2つの異なる大気の層(例えば、空気Aが温かい空気、Bが冷たい空気など)があると、大気にうねりが生じて発生することがあります。従って、上空の前線に伴って発生することが多いです。
図1 空気中で発生する重力波とそれによってできた波状雲
今回、見られた谷川岳上空の波状雲も、上空高い所の前線によるものです。当日は谷川岳付近で北側の冷たい空気と、南側の冷たい空気がぶつかり合っていました。そこで発生したうねりがこの雲を作ったのですね!このうねりの上昇している所で雲ができ、下降しているところでは雲が消えています。それで縞模様の雲ができるのです。
雲はこのように、見えない空気がどういう状態になるのか、空気がどういう気持ちでいるのか、それを現わしてくれています。
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写真、文責:猪熊隆之