山の天気予報

ヤマテンからのお知らせや写真投稿などを行います。

猪熊隆之の観天望気講座105

2018-01-05 22:13:49 | 観天望気

~丹沢空見ハイキングで見られた雲partⅠ~

今回は、12月23日~24日にアルパインツアーの丹沢・塔ノ岳登頂ツアーの際に見られた雲についてです。大倉尾根を登り、山頂にある尊仏山荘に1泊して翌日、表尾根を下るゆったりプラン。雲を見る登山は1.ゆったり行程 であること、2.山頂や稜線上の小屋に泊まるか幕営する この2つが重要です。ゆったりした行程であれば、雲を眺める時間ができますし、山頂や稜線上は空が広くて雲の変化を見るのに最適だからです。さらに、朝焼け、夕焼け、夜景などのお楽しみもオマケでついてきます。そのときの写真をfacebookにアップしました。興味のある方は下記URLでご覧ください。

https://www.facebook.com/takayuki.inokuma/media_set?set=a.1759787534040453.1073742180.100000276714718&type=3&pnref=story

さて、丹沢は天気が変わりやすく、予想が非常に難しい山です。山の天気は「海側から風が吹くと崩れる」というのが鉄則ですが、丹沢のすぐ南には相模湾があり、東側には太平洋、南西側は駿河湾と北東から南西の風が吹くと、海からの湿った空気が入りやすいからです。

下の図を見ると、丹沢と海との位置関係が良く分かりますね。

図1 丹沢の位置

図2 23日6時の天気図(気象庁提供)

さて、23日の天気図を見ると、高気圧の中心が丹沢の西側にあります。こういうときは高気圧からの北西風が吹いてきます。図1を見ていただくと、丹沢の北西側は陸地が続いており、高い山も沢山あります。つまり、海からの湿った空気が入りにくい風向ですね。また、高気圧の中心が近づいてきて下降流域に入ります。

ということで、お天気が良くなりました。

写真1  高気圧前面に入ったときの丹沢の天気。空気が澄んだ冬は富士山はもちろん、南アルプスまで見渡せる。

丹沢の天気は高気圧との位置関係に大きく左右されます。たとえ、高気圧に覆われているように見えても雲に覆われることが沢山あるのです。そういうときは天気予報を見ても参考になりません。ということで、高気圧がどういう位置にあるときに、天気が良くなったり悪くなるのかを見ていきましょう。

図3 丹沢と高気圧との関係

   

①    は丹沢から見て高気圧が北にある場合で、高気圧からの北東風が太平洋上を通る間に湿った空気となり、丹沢を含む関東南部平野部で曇天となる形です。

②    は高気圧が丹沢の東にある場合で相模湾からの湿った南風が吹きつけて丹沢では霧に覆われることが多くなります。

③    は高気圧の中心に入り、下降気流となるため、お天気は良くなります。

④    は高気圧からの湿った南西風が入るため、丹沢では霧に覆われ、風も強まることが多くなります。一方、関東平野では山を吹き降りる下降気流となるため、天気の崩れが小さくなることが多いです。

⑤    は高気圧からの北西風が吹き、中部山岳を吹き降ろして乾いた空気となるため、お天気が良くなります。

今回のハイキングでは、23日の状況は⑤の状況、24日は②の状況になります(partⅡを参照)。ただし、24日の天気図を見ると、③じゃないかと思われる方も多いでしょう。③か④かの判断は地上の天気図では難しいこともあります。そんなときは、1.現場で風向きをチェックする 2.事前に知りたい場合は高度1,500mの相当温位予想図を活用

次回(partⅡ)は2.の相当温位予想図活用法と24日に見られた雲から分かることについて解説します。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 猪熊隆之の観天望気講座104 | トップ | 猪熊隆之の観天望気講座106 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。