今日(4月21日)見られた雲 ~レンズ雲と吊るし雲~
今日(2020年4月21日)は、信州上空では午後からUFO型やレンズ状の独特な雲が沢山出現しました。早速、写真を見てみましょう。
写真1 北八ヶ岳方面で見られた吊るし雲
山の稜線の反対側に、「天空の城ラピュタ」にでも出てきそうな何重にも重なった分厚い雲が見られます。これは吊るし雲と言われる雲です。強風が山にぶつかって上昇してできた雲で、山の風下側にできます(図1参照)。吊るし雲ができるときは、山では非常に強い風が吹いています。強風による転滑落やテント倒壊、低体温症などのリスクが高まりますので、注意が必要です。
図1 レンズ雲と吊るし雲のでき方(山岳気象大全「山と溪谷社」より)
また、北西側の空にはレンズ状の雲が沢山浮かんでいました。こちらは、可愛い感じのレンズ雲ですね。この雲は、霧ヶ峰を越えるときに空気が上下し、その波が上空に伝わってできた雲です。こちらも風が強くないとできない雲です。吊るし雲ほどではありませんが、この雲が現れているときは強風に注意が必要です。
写真2 霧ヶ峰上空のレンズ雲
レンズ雲、吊るし雲が現れるのは、今日のように南高北低型と言われる気圧配置や、日本海を低気圧が進んでいくときです。
天気図1 今日(4月21日)9時の天気図(気象庁の天気図に猪熊が加筆したもの)
今日の天気図(図1)をご覧いただくと、北海道から中国の東北地方に低気圧(赤いアミカケ部分)があり、日本列島の南側には大陸からの高気圧が張り出しています(青いアミカケ部分)。このような気圧配置を南が高く、北が低いことから“南高北低型”と呼び、春に良く現れる気圧配置です。レンズ雲や吊るし雲はこのような気圧配置のときに多くなり、このようなとき、中部山岳や富士山など標高の高い山では風が非常に強まるので、覚えておくと良いでしょう。
文、図(気象庁提供を除く)、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
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