山の天気予報

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猪熊隆之の観天望気講座151

2020-04-04 21:42:40 | 観天望気

Part151 ~山岳波による雲~

今日(2020年4月4日)は、山岳波(さんがくは)による雲が沢山見られました。

山岳波とは、山の地形によって空気が波を起こす現象です。図1のイラストのように、山にぶつかった風が山の斜面を乗り越えることで波を起こし、それが下流側に伝わっていくとともに、安定した層があると、上空にも伝わっていきます。

図1 山岳波ができる仕組み(山岳気象大全「山と溪谷社」より)

写真1 ヤマテン事務所から見た八ヶ岳

写真を見ると、山に沿って雲が発生しているのが分かります。撮影した場所を地図で確認すると、図1の撮影ポイントと書かれている所が写真を撮った場所で、矢印の方角にカメラを向けていることを表しています。写真に写っている山並みは八ヶ岳連峰です。つまり、西寄りの風が八ヶ岳にぶつかり、山の斜面で空気が上昇して雲が発生したことになります。山の奥(東側)にも雲の連なりが見えますが、これは一旦下降して消えた雲が再び上昇してできている雲です。

図1 写真1周辺の地図(google mapを猪熊が加筆したもの)

山岳波による雲は、このように山に沿うように幾筋にも連なって発生することが多くなります。これを衛星画像で見てみましょう(写真2)。

写真2 撮影した時間帯の衛星画像(ひまわり8号リアルタイムwebの画像を猪熊が加筆したもの)

上空の風(赤い矢印)に直交するように、雲が幾筋にも並んでいるのが分かります。これが山岳波による雲です。中部山岳によって山岳波が発生し、風下側に波が伝わっている様子が分かります。

文、図(ひまわり8号リアルタイムweb、google mapを除く)、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)

※図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

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