＜２０２４年１月２８日に書いた以下の記事をそのまま復刻します＞
１） 田中荘子（しょうこ）さんと言ってもあまり知らない人が多いと思うが、不肖・私がフェイスブック（facebook）で大変にお世話になった人である。
私がフェイスブックを始めたのは１１年前ぐらい前だったが、それから暫くして、田中さんがよくコメントを寄せてくれるようになった。初めはたしか「支離滅裂なことを言う田中です」といった挨拶から始まったように思う。
ところが、交友が進むにつれて、彼女の広い見識や的確な意見に、私はだんだん“田中荘子ファン”になっていったのである。 田中さんはアメリカ・カリフォルニア州在住で、主に１９４７年から１９５２年の間に日本からアメリカなどへ輸出された陶磁器やアンティーク美術品、人形類などを扱っているのが仕事だった。
経歴によると、彼女は上智大学英語学科を卒業してマスメディアなどの仕事もしたことがあり、外国の社会や経済、政治などにも詳しいことが分かった。
それはともかく、私が最も嬉しかったのは、拙小説や記事などに対していつも好意的なコメントを寄せてくれることだった。その度に私はやる気を募らせていった。田中さんは私のファンというより、まるで“天使(angel)”のように思えたのだ。
そのことを彼女に告げると、「まあ、恥ずかしい。穴があったら入りたい」と言っていた。しかし、彼女は好意的なコメントだけでなく、私の不適切な記事などに対して、時には厳しい指摘や注意もしてくれた。それで教わったことも少なからずあったのである。
２） 田中さんにはいつも励まされた。それで気を良くしたこともたびたびあった。要するに、彼女のお陰で小説や記事が進行した側面がある。 こうして２人の交友が深まっていったところ、２０１６年３月になって、彼女が「OJ倶楽部」の展示会を東京・世田谷区内で開くことになった。
「OJ倶楽部」というのは、先に述べた１９４７年から１９５２年の間に日本からアメリカなどへ輸出された陶磁器やアンティーク美術品を扱っており、田中さんは日本でも時々 展示会を開いていた。 OJとはOccupied Japanの略で「占領下の日本」という意味で、その時代に輸出された日本製品を意味する。
田中さんが展示会のことをを紹介していたので、私はその会場へ行ってみることにした。 正直言って、私はアンティークなどにはあまり興味がなかったが、田中さんにぜひ会いたいと思っていたからだ。
事前に連絡をして、３月３０日の午後に世田谷区の会場へ赴いた。以下がその時の模様で、私は田中さんと一緒に写真を撮ってもらったりしたが、彼女は実に爽やかで好感が持てた。そして、若々しい感じがしたので、４０代半ばぐらいかなと思っていたら、６０歳を超えていると聞いてびっくりしたものである。
以後、彼女と私の交友はますます親密になっていったと思う。
田中荘子さんと筆者
３） しかし、最近になって、２人の考えに相違のあることがだんだん明らかになった。 人間だれしも思想や主義・主張で違いはあるものだ。それがはっきりしたのは、２年前のロシアによるウクライナ侵攻の出来事である。
日本では自民党から共産党に至るまで、ロシアの侵略を批判・非難する声が圧倒的に多かった。もちろん、私も同様である。 ところが、田中さんは違った。毎日のようにロシア寄りの識者の声を紹介したり、欧米やG７とは違った立場を鮮明にした。
もちろん、ロシアとウクライナの間には歴史上いろいろな経緯があったので、どちらにも言い分はあるだろう。しかし、国際法の立場から見れば、ロシアの侵略は明らかに不当である。このころから、私は田中さんに違和感を覚えた。
それでも、フェイスブック上の交友は続いて去年の夏を迎えた。そのころ、彼女はたしかOJ俱楽部の関係で来日することになり、私に会いたいと言ってきた。ところが、私は年を取って出不精になったせいもあり、会おうとの返事をしなかった。 田中さんは仕事を終えてアメリカに戻ったが、それから暫くして、彼女は“脳卒中”で倒れたのである。
その知らせが８月１日に分かったが、私は驚いてすぐには信じられなかった。あれほど元気で活発な彼女が脳卒中で倒れるとは・・・ 以後、私はフェイスブック自体に興味を失っていった。つまり、田中さんが姿を消して張り合いがなくなったのだろう。
その後の経緯を見ていると、彼女は小康状態を保っているようだが、完全な回復にはまだかなりの時間がかかりそうだ。彼女の一日も早い回復を祈りつつ拙文を終わりにしたい。 “フェイスブックの天使”に幸あれ！ （２０２４年１月２８日）
田中荘子さんのフェイスブック・・・https://www.facebook.com/shoko.tanaka.712?locale=ja_JP
