武弘・Takehiroの部屋

万物は流転する 日一日の命
“生涯一記者”は あらゆる分野で 真実を追求する

政治家の失言、暴言

2024年02月24日 15時10分51秒 | 政治・外交・防衛

<注・以下の記事は2010年11月に書いたものです。>

柳田法務大臣の国会を軽視した発言が問題になっている。柳田大臣は、国会では2つの答弁を覚えておけばいいと述べ、1つは「個別の事案についてはお答えできない」、もう1つは「法と証拠に基づいて、適切にやっている」ということを挙げた。
 テレビで見たら、柳田氏はやや得意気な感じで発言していたが、これは確かに国会を軽視、愚弄した言い方である。こんな答弁で大臣が務まるなら、誰だって法務大臣の職務を担うことができるだろう。明らかに失言である。
 柳田氏は陳謝したが、野党側は国会を侮辱した発言だとして柳田大臣の辞任・罷免を要求している。これも当然だろう。
 
ただ、私は昔の話をして申し訳ないが、これ以上の失言や暴言は数多くあった。 「中小企業の人間が自殺しても、お気の毒だが止むを得ない」 「日本国憲法は妾(めかけ)の憲法だ」 「国連は田舎の信用組合みたいだ。モルジブのような“土人国”が票を持っている」とか、自分の選挙区に急行列車の停車駅をつくり、「国鉄(注・今のJR)も俺の言うことを一つぐらい聞いてくれてもいいじゃないか」と述べたA運輸大臣もいた。いずれも大臣を“クビ”になったが、柳田大臣の失言に比べると、唖然とするような酷さである。
 まあ、昔の自民党政権時代には、今では想像もできないような失言、暴言が飛び交った。それに比べれば、最近は閣僚の発言もずいぶん慎重になったものだと思う。
 書いているうちに思い出したことがある(今だからもう言ってもいいだろう)。 あれは25年以上も前だったか、当時の労働大臣の発言にびっくり仰天したことがある。ただし、これは公けの席で言ったのではなく、政府・自民党の非公式な席での発言だから問題にはならなかった。
 その頃、たしか「男女雇用機会均等法」をめぐって、国会で大いに議論されていたと思う。当時のA労働大臣(もちろん男性。名前は伏せる)は、野党はもちろん自民党の女性議員らからも、この法案をめぐって厳しく追及されていた。相当に疲れやストレスが溜まったらしい。
 国会審議が終わって、A大臣は自民党の幹部らと顔を合わせた時に次のように吐き出した。「何が男女雇用法だ! 女は“立ち小便”ができるようになったら言ってこい!
 これが、法案の最高責任者である労働大臣の言葉である。こんな暴言が知れたら、A氏は大臣どころか国会議員も“クビ”になっただろう。いかに身内の集まりでの発言とはいえ、酷すぎないか。
 その頃、私は某テレビ局の政治記者として自民党を担当していたが、幹事長は実力者の金丸信(かねまる・しん)氏であった。金丸さんのオフ懇(オフレコ懇談会)というのがあって、記事にしないかわりに何でも話してもらおうというものだった。
 金丸氏は面白がってその話をしたのだろうが、聞いていた記者連中は初めは笑ったが唖然とした。労働大臣の発言にしては酷すぎる。そうすると、ある若手記者のB君が「うちの娘は立ち小便ができるんですよ!」と言ったから、今度は失笑が起きた。考えてみれば、あの頃は記者と言えばほとんどが男性であった。
 金丸番の記者も全員が男だったから、金丸氏も気を許してそんな話が出来たのである。今のように、女性記者が大勢いて番記者をやっていたら、いかに金丸さんといえどもこんな話は出来ないはずだ。どえらいことになる。そういう意味で、女性記者が増えたのは、風紀面で好ましいことだと言えよう。
 話がずいぶん飛んでしまったが、政治家も人間だから失言や暴言はよくある。過去の大臣や政治家の失言・暴言を集めたら、一冊の本になるだろう。
 しかし、時代が変わったので昔のようにおおらかに(?)、無神経に失言することはできない。政治家はこれまで以上に自分の発言に気を付けるべきだ。今は、昔のような“おおらかな”時代ではないのだ。(2010年11月19日)


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 領収書と精算  | トップ | 血にまみれたハンガリー(1) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

政治・外交・防衛」カテゴリの最新記事