武弘・Takehiroの部屋

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<詩> 幸せな自転車

2024年07月01日 03時14分29秒 | 詩、その他

僕は新品の自転車だ 今日も元気いっぱい!
先日 美しいお嬢さんが 僕を買ってくれた
毎朝 お嬢さんが 僕を運転してくれる
柔らかい両手が 僕の“両手首”を握りしめる
それに お嬢さんの暖かい体が 僕を包んでくれる
かぐわしい息吹が漂ってきて 僕はもう有頂天だ
 
優しい運転で 僕はスイスイと走る
信号待ちになると お嬢さんがいたわってくれる
そして 発車オーライ また僕は走り始める
行き交う人々が お嬢さんと僕を見つめた
ますます元気が出てくる スイスイと軽やかに走る
やがて お嬢さんと僕は 会社に着いた
 
自転車置き場で 長~い休憩時間に入った
僕は少し疲れたが 満足感でいっぱい!
周りの自転車を見ると 色とりどりだ
古いの新しいの・・・ 形もさまざま
新品の僕は 「皆さん どうぞ宜しく」と声をかける
ゆっくり休んでいると 夕方になった
 
お嬢さんのお出ましだ これから帰宅の途へ
柔らかい両手と暖かい体が また僕を包んでくれる
発車オーライ お嬢さんの足が踏み込む
元気いっぱいの僕は ライトを点けて発進
朝とは逆のコースを スイスイと走る
街の灯りの中で お嬢さんと僕は一体になった
 
いつまで こんな幸せが続くのか・・・
僕が古くなったら お嬢さんに捨てられるのか
いや そんなことを考えるのは止めよう
今の幸せを大切にし ひたすら走ろう
お嬢さんはとても優しい人だ 僕をよく洗ってくれ
磨いてくれる その時はうっとりとするのだ
 
たまに お嬢さんの母上が 僕にまたがる
とても重い でも 我慢しなくっちゃ~
お嬢さんを生んでくれたのは この母上だ
僕は喘ぐように走る タイヤもキュウキュウ鳴っている
でも それはほんの一時 母上は遠出をしない
近くで買い物をして すぐ家に帰ってくれる
 
明日も お嬢さんを乗せて 会社へ行くぞ
お嬢さんは僕の誇りだ 憧れの人なのだ
こんなに 美しい人を乗せるなんて 夢のよう
雨が降っても 風が吹いても 負けないで走るぞ
今宵もふけてきた お嬢さんとともに眠ろう
明日の喜びと 幸せを想い描きながら・・・

<先日の早朝、東京の街中でスタイルの良い美しい女性が自転車を漕いでいた。身体にとてもフィットしたタイツ姿だったので、思わず見とれてしまった。それが忘れられないでいると、自分が“自転車”になった妄想に駆られて・・・ 2011年5月31日>


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