大項目2 湊線の延伸計画は白紙または凍結に (未定稿)
本市の財政力指数、つまり市独自で稼ぐ力は県内44市町村中6位、県内でも財政的に豊かな自治体であるといえます。学校給食費への公費補助による負担軽減など子育て世代のニーズや市独自のきめ細やかな障害福祉サービスなど住民要求は山積しており、県内6位の豊かな財政力を身近な住民要求の実現につなげる施策が求められます。
しかし、実際の本市の財政状況をみると、近年、本市は当初予算を組む段階で財政調整基金と市債管理基金、いわゆる貯金を30億から40億円も繰り入れないと予算編成できない状況にあります。一般の家計で言えば、収入だけでは生活設計できないので毎年貯金を取り崩している状況です。貯金は使った分だけ減っていきます。令和4年から令和8年度までの中期財政計画によれば、毎年の財源不足の合計は5年間で208億円を超え、財源不足を補うための現在の貯金残高97億円をはるかに超えた赤字財政計画となっています。
このような財政見通しの中、昨年度から事業の見直しによる財政の縮減が進められています。限りある財源をいかに有効に使い、住民サービスを後退させることなく、ニーズに合ったサービスを適切に提供していけるか財政運営の手腕が問われることになります。
このような前置きをしたうえで、現在進めている海浜鉄道湊線の延伸計画について、質問します。この延伸計画は、海浜公園に国内外から訪れる観光客の需要予測などをもとにしてつくられ、概算事業費は約78億4千万円とされています。
これはコロナ前の需要予測にもとづくものです。コロナ禍のなか、市の財政状況、社会情勢は大きく変化しており、しかも当初予定していた国や県からの補助金も当てにならない状況にありながらなお突き進もうとしていることに疑問を感じます。
今後、公共施設の維持管理に財政的に大きな負荷がかかるというときに、湊線の延伸計画は果たして本市の発展に欠かせないものなのか、一刻も早く工事認可申請を行うという立場は今も変わらないのか、伺います。
私は、現在の湊線を盛り上げ維持していくことと、延伸することはもう切り離し、延伸計画は白紙に戻すか、いったん凍結する必要があると考えます。
そこで、延伸計画の現在の進捗状況と今後の考え方について、市長に伺います。
答弁 大谷市長
今後の考え方について、ひたちなか海浜鉄道湊線の延伸計画は、沿線住民の移動手段としての利便性の向上をはじめ国営ひたち海浜公園のアクセスの向上、沿線の観光施設や商店街などへの来訪者の回遊を促すことによる交流人口の拡大、地域の活性化などを目的としています。海浜公園来園者の一部を湊線利用に取り込むことで、会社の経営の安定化を図り、鉄道という地域の生活に欠かせない基幹交通を将来に引き継ぐための取り組みであると認識しています。
このことから市と海浜鉄道では、延伸については計画に沿って事業を進めており、国の技術的な基準に適合した安全な鉄道施設を建設するための工事施工認可申請に向けて準備を進めています。現在は駅や橋梁等の構造物や施工方法について安全性や快適性、コストなどを総合的に勘案し、申請期限である令和5年3月末に向けて申請図書作成のための設計業務に取り組んでいるところです。
その中で昨今の社会情勢の変化も事業を進めていくうえで注視していかなければならないと認識をしています。今後工事施工認可申請図書の作成および国との協議を進める中で構造物や事業費等の確定に伴い計画の変更や見直しがございましたら、議会の皆さまにしっかりご報告し、ご意見を伺ってまいりたいと考えています。
なお現在の延伸計画の進捗状況については担当部長よりお答えいたします。
答弁 森山企画部長
現在国の技術的な基準に適合した安全な鉄道施設を建設するための工事施工認可申請に向けて、ひたちなか海浜鉄道では鉄道設計コンサルタントと工事施工認可申請図書作成業務委託契約を締結し、申請に用いる設計図書の作成に鋭意取り組んでいるところです。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大とその長期化に伴い、委託事業者や関係機関等との協議が予定通りに実施できず作業工程が全体的に遅れていますが、本年6月に申請図書の一部を関東運輸局に提出し、本申請に向けた国との事前協議に着手いたしました。海浜鉄道および市としましては提出期限である令和5年3月末に向けて現在取り組んでいる路線上の構造物およびこれに伴う事業費とを確定させるための設計業務に注力しているところです。
再質問 宇田
事業費については、設計が進む中で事業費の変更があれば、、、設計が確定して事業費に変更があれば議会等に図っていくということでしたけれども、公共施設について、いろいろ老朽化して今後対応が必要だと、そして非常に市の財源がそこにかかってくるという中で、湊線の延伸は相変らず、優先的にでもその財源を使っていくのかと。当初の事業、概算事業費でも、78億4千万かかると、概算事業費、これがどこまで膨らむかわからないということだと思いますが、優先順位としては変わらないのかということを確認したいと思います。
答弁 森山企画部長
計画変更が必要かどうか、あるいは事業費のほうが変更になるかどうかという質問かと思いますが、先ほど答弁しましたように、現在令和5年3月末が申請期限となります工事施工認可申請の期限に向けて申請に必要な設計業務及び申請図書の作成に取り組んでいるさなかでして、全容が固まっていないことから、現時点ではただ今のご質問にちょっと正確にお答えすることはできないものというふうに考えています。
再質問 宇田
事業費の確定はまだまだできないということでしたけれども、需要予測については、コロナ禍前の需要予測なんですね。これについては、早急に見直す、需要予測は見直す必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
答弁 森山企画部長
需要予測に関しても事業費のほうの変更についても現在行っています工事施工認可申請が需要に関係してくると思いますので、申請に必要な設計業務及び申請図書の作成に取り組んでいるさなかですので、現時点では需要予測については考えていません。
再質問 宇田
コロナ禍前の計画をコロナ禍後もそのままコロナ禍前の計画で突き進んで、現時点ではそれ以上のことは言えないということでは、非常に市民に対しても議会に対しても無責任な計画のまま突き進んでいると考えざるを得ません。
一度立ち止まって、少なくてもコロナ禍前にたてた需要予測の見直し、現在の物価高騰などを考慮した概算事業費の出し直しが必要だと思います。立ち止まる必要があるのではないかと思っています。
本市は湊線が第3セクターとなった平成 20 年 4 月以来、湊線の維持・経営の安定のために毎年数千万円の補助金をすでに出しています。令和3年度決算では約7千万円の補助金を出して、現在の湊線の維持を行っているわけです。
湊線の延伸に関してはすでに4億円近い経費が掛かっておりまして、延伸を行ったら、市の負担はこれまでの比較にならないほどの負担になることは目に見えているわけですから、市の予算が潤沢にあるのだったらそれもよいのかもしれませが、市の財政状況は厳しく、その中でもやらなければならない公共事業のなかで、湊線の延伸事業の優先順位がそんなに高いのか、市民に問うまでもなく、市はぜひ再検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
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