みなさま、こんにちは。
今回は、ひたちなかの保育事情についての質問です。
ひたちなか市では、0歳から2歳児クラスの保育需要が大きく増えて、今年の4月は、入所がままらない状況でした。そんな中、企業主導型保育事業所という新たな保育施設が、次々に新設され始めています。この保育施設は「認可外保育施設」で設置基準や職員の配置基準などが、認可施設に比べ緩和されており、市の関与も限定的。保育の質や安全面は経営者次第という点が危惧されます。
以下、質問の抜粋を掲載します。その後、質問と答弁の全文を掲載します。
安心して子どもを生み、仕事を続けられる市に
待機児200人を超す
今年度の4月は200人超、特に1歳児クラスでは130人が希望する保育所に入所できませんでした。
待機児はなくなるか
宇田議員は、保護者が、希望する時期に保育所に入所できるよう、必要な受け皿の整備について、市に質問しました。
市は、「来年度4月に120人定員の認可保育園が2園開園予定であり、受け入れには一定の強化が図られる」と、答弁。
市の責任で待機児解消を
一方で、3月に公立の佐野保育所が閉園、認可外の企業主導型保育事業所が3園開所予定です。
宇田議員は、食物アレルギーや発達に課題のある子などの受け入れ、そのための保育士の確保を含め、市が責任を持って待機児解消に努めることを求めました。
次に全文を掲載。
人口減少、少子化といわれながら、保育需要は年々伸びています。特に0歳から2歳児期の保育需要が大きく伸び、認可保育園に入れない待機児問題が社会問題となっています。
これに対する、安倍政権のすすめる政策は既存の施設への詰め込み、最低基準の規制緩和によるその場しのぎの対応で、安心安全を求める保護者のニーズにこたえるものとはなっていません。
しかも、市町村を実施主体として計画的な保育基盤整備を進めるとしてきた「子ども子育て支援新制度」でありながら、市町村が設置に関して関与できない、認可外の「企業主導型保育事業」を待機児対策の「切り札」として出してきたことは理解に苦しみます。
一方、保育所に求められるニーズは多様化し、延長保育・病児保育・一時保育・子育て支援などへの対応、アレルギー児や発達障がいの子どもへの適切な支援など保育士には非常に多様で高度な専門性が求められ、さらにノロウイルスやインフルエンザなど集団感染症対策や乳幼児の午睡中の呼吸チェックの励行などにより現場は多忙化しています。
しかし、保育士の処遇はまだまだ改善には至らず、せっかく保育士として働いても数年でやめてしまう保育士も少なくなく、経験を積み重ね保育の質を保つことを難しくしています。
このような中、認可外保育施設ばかりか認可保育園でも、保育中の子どもの死亡事故がおきている状況は看過できません。
本市においては、保護者が希望する時期に子どもを保育所に預けられることと同時に、子どもたちのいのちを守り、健やかな成長・発達を保障する、安心安全の保育を実施する為に、市の果たす役割りはますます重要となっています。
(1) 来年度の保育需要と保育体制についての評価
本市においては、残念ながら今年度で公立の佐野保育所が閉園となってしまいますが、新たに120人定員の認可保育園が2園開園すること、また、老朽化した施設の保育園が、1園改築され、より良い保育環境になるということに、多くの市民が期待を寄せています。
今年は4月の段階から、特に1歳児クラスにおいて非常に多くの待機児が出てしまいましたが、来年度に向けて、保育の需要と提供体制について、どのように評価されているのか伺います。
また、今年の4月は入所が決定した段階で、待機児が多く出た一方で、結果的にはまだ空きのある施設があったという状況でした。この点について、どのような対策をお考えか伺います。
本市においては、食物アレルギーをもつ子どもや発達に課題のある子どもを保育園が受け入れるにあたっては、行政の支援を受けることで、多くの保育園で受け入れがおこなわれていると認識しています。今後はさらに特別の配慮を要する子の受け入れが求められてくると思いますが、現状と課題、今後の方向性について伺います。
(3) 安心安全の保育のために
保育所保育指針の第1章には、保育所の役割りとして、『入所する子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進するにふさわしい生活の場でなければならない』と書かれています。
本市において、企業主導型保育事業所の開園が3園予定されていますが、保育士の配置基準は2分の1以上で良しとされ、安全面が危惧されます。 企業主導型保育事業所においても、保育所保育指針を「踏まえた」保育の実施が求められていますが、この保育所は、認可外保育施設です。国は、企業主導型保育事業所と市町村との連携をうたっていますが、市として、今後どういう関係をきずいていこうとお考えか、伺います。
答弁 福祉部長
(1)本年4月の認可保育所の入所状況を振り返りますと、特に1歳児において入所申込者が急激に増加する一方、保育士の確保が困難な状況等もあり、受け入れ可能な児童数が減少したことから、全体で233人、1歳児で130人の児童が希望する保育所に入所できなかった状況でした。ご質問のH30年4月における保育需要と供給体制についてですが、H30年4月の入所申込者数については、既に入所申請受付は12月1日で終了していますが、現在とりまとめをしている最中であり、年齢別の申込者数等は明らかになっていない状況です。このことから、現在、今年度中の入所申し込みをしていながら入所できていない入所保留者数から推測しますと、昨年度と比較して微増している状況であることなどから、H30年4月における申込者については昨年度と同等、もしくは若干増加するものと予測しているところです。
一方、供給体制の確保についてですが、老朽化等により閉所する佐野保育所の代替保育所も含め、H30年4月に新たに開所する定員120名の2か所の民間認可保育所については、現時点で整備工事が当初の計画通りに進められており、予定通り開所できる見通しです。また、既存の民間認可保育所については、児童1人当たりの床面積や保育士の数等の基準を満たしていることを条件に、定員を超過して入所させることのできる定員の弾力的な運用により1人でも多くの児童が入所できるよう、これまでに代表者等と継続的に協議をおこなうなどしてきました。これらにより昨年度は多くの入所保留者が発生した1歳児における受け入れ可能児童数については、H30年4月の予定で昨年度年と比較して75人の受け入れ増加を見込んでおりまして、供給体制の確保について一定の強化が図れるものと考えています。
また、本年4月の入所において、全体で233人の児童が入所できなかったにもかかわらず、受け入れ可能児童数に145人分の余剰が発生したことについては、他に空きのある保育所があるにもかかわらず、特定の保育所を希望するため待機となるケースも見込まれることなどから、受け入れ可能児童数の余剰については一定数生じるものと考えています。一方昨年度は日程の都合等から、いわゆる2次募集及びその審査・決定を5月に実施したことも余剰発生の要因であったものと認識しています。このことから、H30年4月の入所においては、入所決定をおこなった後、受け入れ可能児童数に余剰がある場合は、本年度内にもう一度、4月入所の審査・決定を実施するなど改善を図っておりまして、1人でも多くの児童が認可保育所に入所できるように引き続き取り組んでまいります。
(2)特別に配慮の要する児童の受け入れについて
発達等に障がいがある児童や食物アレルギーのある児童など特別の配慮を要する児童の認可保育所での受け入れについては、近年増加が続いている状況にあり、公立保育所においては、児童の状態などに応じて必要な加配職員を配置するなどしながら、受け入れ態勢を確保してきました。また、民間の認可保育所に対しては「障害児保育支援事業費補助金」を交付し発達等に障がいがある児童の受け入れを支援してきました。この補助金については、H14年まで国の補助事業として実施されてきましたが、それ以降は地方交付税措置とされたことから、市の単独補助事業として段階的に充実を図ってきました。さらに、食物アレルギーのある児童の受け入れについては、アレルギー児童保育加算金」として対象児童の割合に応じた加算金を施設型給付費に上乗せして、H28年度より支給しているところです。
また、入所受付に際しては、児童の状況に適する保育所を選んでいただくことができるよう、必ず事前に見学し、各保育所の取り組み状況などを確認していただいたうえで入所申し込みをされるよう案内をしています。しかし、保育士不足等の影響も相まって、新たな受け入れが困難な保育所も出てきていることから、市では保護者の希望をふまえ、受け入れ可能な保育所について個別に調整をはかりながら、児童が安全・安心に保育を受けることができるように取り組んでいるところです。
今後も深刻な保育士不足等により、特別の配慮を要する児童の受け入れは厳しい状況が続くものと予想されることから、さらなる児童の受け入れ態勢等の充実に向けて、民間認可保育所の代表者等と継続的に協議をおこなうなどし、特別の配慮を要する児童が安全・安心に保育を受けることができる環境の構築に努めてまいります。
(3)安心・安全の保育のために
企業主導型保育事業については、厚生年金保険等に加入する事業主が、従業員の子どもを保育する為に、自ら事業所内保育施設を設置及び運営する場合等に、事業主の申請により国から直接その施設整備や運営に係る経費の一部が助成されるものであり、市の負担は一切生じない制度です。また、従業員の子どもの他に、地域の子どもを受け入れる地域枠を利用定員の半数以内で事業主が自由に設定できることになっていますが、設置、運営及び入所等に係る申請や決定等についても、認可保育所とは違い、地域枠の設定も含め市は関与できない制度設計となっています。このことから、市内の設置予定等の把握についても、県から通知される国への申請一覧等から情報を収集している状況です。その情報によりますと、本市における設置等の状況は、去る12月1日に勝田泉町に水戸市に所在する株式会社が地域枠6名を含む利用定員12名の保育所の運営を開始しており、来年4月には市内の2つの社会福祉法人が利用定員30名と14名の保育所をそれぞれ運営開始する予定となっています。
一方、この制度により設置する保育所は、児童福祉法に規定する認可外保育施設に位置付けられることから、市は同法の規定に基づき、当該施設に係る設備及び運営に係る関係書類の徴収や立ち入り調査を年1回実施することになっており、重大事項の違反等が改善されない場合には、最終的には事業停止や施設閉鎖の命令ができることとなっています。市としましては、当該調査を通じて、必要とされる保育従事者の数や児童一人一人の心身の発育に応じた保育内容の実施など、認可外保育施設としての基準が遵守されているかを精査するとともに、必要に応じて情報交換をおこなうなどして、運営実態の把握に努めていきます。また、災害や感染症等の児童の安全に関する情報の提供や設置・運営者からの要請により相談等にも適宜応じていきたいと考えています。
再質問 宇田
特別の配慮を要する子の受け入れについてもですね、保育士不足がその受け入れに当たってネックになっているというようなことも答弁で話されておりました。今後保育需要の受け皿として、保育士不足ということに対して、市としてしっかりと対応していっていただきたいということを要望したいと思います。
いずれにしても、若い方が安心して子どもを生み育て、仕事を続けられる、そういう市であるために、市の責任において、安心安全な保育の受け皿を充実させることを求めてこの質問は終わりにしたいと思います。