みなさま、こんにちは。
今日は医療的ケアを必要とする子どもたちと保護者支援についての質問について掲載します。
茨城新聞でも、しばらく連載されていました。
市の福祉施策の充実と共に、私たち一人一人が切実な状況をもっと知ることが必要だと感じます。
医療的ケア児と保護者支援について
呼吸器具をのどにつけたり、食事のチューブを胃に通すなど医療的ケアが必要なこどもたち。在宅で介護する保護者は、定期的なたんの吸引や呼吸器の管理など、常に緊張の中で子育てをおこなっています。
行政の連携で支援の強化を
宇田議員は、医療的ケアが必要な子どもたちが、成長する過程で必要な支援を受けるための行政の連携促進・情報発信について質問しました。
市は、「保護者の意見に耳を傾けながら関係各課との情報共有を進めてきたが、さらに他分野との連携を進めるため、障害福祉事業所の職員がさまざまな障害に関する支援や連携方法について学ぶ合同研修会を開催している。また、医療的ケア児とその家族が孤立することがないよう市報やホームページによる情報提供に努め、相談支援事業所などの窓口を周知していく。」と答弁。
家族の孤立を防ぐ
H28年5月に児童福祉法が改正され、医療的ケア児への支援が、自治体の努力義務とされました。身近な場所に通所支援事業者や短期入所施設が少ないため、昼夜を問わず医療的ケア児を介護する保護者の負担が重く、社会との交流もできずに孤立を招きやすいといった状況に対し、今後市として支援の充実が求められます。
以下は質問と答弁の全文です。
大項目4 医療的ケア児と保護者支援について
医療技術等の進歩等によりNICUに長期間入院した後、引き続き呼吸器具をのどにつけたり、食事のチューブを胃に通すなど医療的ケアが必要なこどもたちが増えています。
退院後の主な介護者である母親は、昼も夜もなく、定期的なたんの吸引をおこない、一時たりとも目が離せない、緊張の中での子育てを強いられることになります。
病院で救われたいのちが、在宅でも必要な支援を受け、豊かな経験を重ねながら、成長できる社会になっているのかが問われます。
保育所や学校での医療的ケア児の受け入れには、常に看護師などの配置が必要となる場合もあり、非常にハードルが高いのが実情です。
しかし、昨年、児童福祉法が改正され、医療的ケア児への支援が、自治体の努力義務とされ、茨城県においても、今年度から、医療的ケア児支援のための取り組みが始められました。
そこで、本市においても、医療的ケアを必要とする子どもたちの実態把握、保護者の意向調査を行い、必要な支援をおこなうことが求められています。
(1) 本市の状況について
1点目 医療的ケア児は何人いるか
2点目 医療的ケア児が利用できる施設は、現在どのようなものがあるのか伺います。
(2) 求められる支援について
1点目 どのような支援が今後必要かということについて、担当者が足を運んで医療的ケア児や保護者の実態を把握し、意向調査をおこない、国・県に要望すべきこと、市でできること等、課題を整理し取り組んでいくことが必要と考えますが、いかがでしょうか。
2点目 医療的ケアの必要な子どもたちが成長の過程で切れ目のない支援を受けられるよう、保健・医療・障害福祉・保育・教育等の連携促進が努力義務とされました。医療的ケア児への医療や福祉サービス、就学などに関する相談、情報提供できる専門のコーディネーターの養成も必要と考えます。今後、各課との連携、情報発信について、どのようにお考えか伺います。
答弁 福祉部長
(1)本市の状況について
人工呼吸器の装着やたんの吸引器の使用、チューブによる栄養摂取など日常的に医療的な処置が必要な児童、いわゆる「医療的ケア児」は、これまで、専門の介護職員が常駐している病院や施設で過ごさざるを得ない状況にありました。しかし、近年、新生児に対する医療技術の進展により早期退院が可能となり、訪問看護など必要な支援を受けながら在宅で生活することもできるようになっています。
児童福祉法において医療的ケア児は、「人工呼吸器を装着している障がい児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障がい児」と位置付けられましたが、その中には、一時的に医療的ケアを要する児童や重度の障害を持ち寝たきりの児童まで幅広く含まれています。
そのため、医療的ケア児の数については様々なとらえ方があるところですが、本市における在宅の重症心身障害児のうち医療的ケアを必要とする児童の人数は11月末現在で17名となっており、年齢別でみますと、2歳から4歳が3名、6歳から12歳が8名、13歳から17歳が6名で、12歳未満が全体の6割を超える状況となっています。
医療的ケア児が利用できる施設としては、リハビリを受けながら社会性を養う通所型の児童発達支援事業所が市内に2か所開設されており、このうち1か所は、看護師が自宅を訪問して気管切開部の消毒などをおこなう訪問看護事業所を併設しています。
県内でも12か所と数少ない事業所のうち2か所が本市にできたことで、これまで受け入れ先が限定されていた医療的ケア児が身近な場所で支援を受けやすくなり、市としましても非常に心強く感じています。
また、この他にも近隣には保護者の休息や緊急時に利用する病院併設型の短期入所施設が水戸市に2か所、東海村に1か所あります。
(2)求められる支援について
1点目 「医療的ケア児や保護者の実態把握と課題に就いて」
現在市がおこなっている保護者の実態把握としては、1つ目に、医療的ケア児の退院にあわせて保健師が家庭訪問をおこない保護者と直接お話をしながら家庭での療育についての助言や福祉制度などの案内を実施しています。
2点目 障害福祉制度を利用する際には、職員が保護者と面談をおこない、制度利用の意向や障がい児の状況調査を実施しています。
医療的ケア児の支援における課題としては、身近な場所に通所支援事業者や短期入所施設が依然として少ないため、昼夜を問わず医療的ケア児を介護する保護者の負担が重く、社会との交流もできずに孤立を招きやすいといった状況になっています。
市では、今後も保護者の意見に耳を傾けながらこれらの課題を整理し、施策に取り組んでいきます。
次に、医療的ケア児の支援における連携促進と利用者への情報発信について
医療的ケア児が地域で健やかに成長するためには、様々な人に出会い、社会とのかかわりをもち続けることが必要です。市は障がいを持つ児童の支援について、これまでも保健・医療など関係各課との情報共有をすすめてきたところです。さらに他分野との連携をすすめるため、障害福祉事業所の職員が様々な障がいに関する支援や連携方法について学ぶ合同研修会を開催しています。
しかし、医療的ケア児に対する支援について知識を持つ事業所はまだ少ない状況ですので、今後の研修会におけるテーマとして取り上げることを検討していきます。
次に、利用者への情報発信については、医療的ケア児とその家族が孤立することが無いよう、市報やホームページによる情報提供に努め、障がい児相談支援事業所などの相談窓口を周知していきます。
市としましては、今後ともこれらの取り組みを通じて児童が住み慣れた地域で自分らしく生きることができる共生社会の実現を目指して支援の充実に努めてまいります。
まとめ 宇田
医療的ケアができる事業所が、今県内でも12か所しかない中で、本市に2か所あるということでは、私はこれは本当に誇りに思っております。でも、その事業所も、やっぱり経営が成り立たなかったならば、なかなか続けていくのも大変だという状況も聞いておりますので、しっかり事業所とも連携を図って、医療的ケアを必要とする子どもたちや親たちの支援を市として今後とも力を入れてやっていただくことを要望しまして終わりにします。