村野ミロが四十になったら死のうと思いながらも三十八で養父を見殺しにし、同い年の盲目の内妻に追われ韓国人の妻になり因縁の子を産み逃亡の果て沖縄に着くまでのとっても波乱万丈な人生がつづられている。
「ダークエンジェル」という店に雇われてハルオという赤ん坊とのその後が気になってくる。
およそ私には縁の無い闇社会でなげやりに生きているのかと思うとそうでもなく、突然母性愛を見せたり計算高かったりするミロが嫌いだけど興味がわく。
軽蔑するけど共感できてしまったりする。
私の中にある嫌な部分、暗い感情が共振する物語。
殺人を犯しても捕まらないのもいい。殺されて当然と堂々と生きていくミロにいっそすがすがしいくらいだ。
これは「アウト」の主人公もそうで、殺人を犯しているが逃亡する。
物語なのだからそれでいいと思う。
だから桐野夏生の作品は好きだ。