三十一歳の女性が主人公の短編集。
どの女性にもちょっとだけ共感できていい。
いじわるだったり、情けなかったり、自覚してるけど気づきたくなかった、という文にそうだったんだと初めて自分のココロにかくしておきたい気分の正体がわかったりした。
疲れてるという言葉だけでは表しきれない複雑な気分をこんなふうに文で表現できたら今よりずっと楽になれる。それが出来なくてもこの小説を読めば同じくらいに楽になった気がする。
楽しい発見も。
「旅」という話で主人公が金券ショップで新幹線や飛行機のチケットを買う場面がある。
毎週末一泊で旅に出るのに行き先は売られていたチケット任せというもの。
行きたい場所がこれといってないけどどこかに行きたいという時、ダーツの矢を地図に当てて決めるように金券ショップに売られていたチケットに表示されていた場所が行き先というもの。
座席の指定も、乗る便もすべて決まっていて考えなくていいし、今度はどこだろうって言うわくわく感がおもしろそう。
旅好きの私としては、ためしてみたくなった。