鴻待日和

44歳。進行流産・化学流産・稽留流産。
愛しい人の子を抱ける日は来るのか・・・?

抱卵中5

2007年08月04日 | 不妊治療
 出血した。
 「色つきオリモノ」なんて程度じゃなく、便器にポタポタと赤黒い血が滴るほどの量。

 その日は朝からティッシュにピンクの色がついていた。不安になって病院に電話をかけたけれど、案の定「様子を見て下さい。心配なら来院してもいいですけど」との返事。ならば気を強くもとう、大丈夫だ、と自分に言いきかせるけれど、だんだんお腹も痛くなってきた。・・ここ数日、下痢気味で腸が張るので、その痛みだと思うけれど、本当にそうなのか・・?
 気を紛らすため、洗濯。買い物。身体を動かしていると痛みが次第にやわらいで、お腹も軽くなってきた。何だ、大丈夫じゃないか。

 昼食をすませ、食器を洗い、さて、午後はどうしようかな・・と思った途端、前触れ無しに出血。

 血の気が引く。
 夏休み中で家に居たウソ君に「出血した。病院に行ってくる」と告げて、出かける準備。ウソ君がぎゅっと抱きしめてくれる。「大丈夫だよ、きっと」。抱きしめられてはじめて身体が震えてきた。流産、の文字が脳裏をよぎる。さんざん見せられてきた、パーセンテージの図表や棒グラフが目の前にちらつく。

 でも、現実を受け止めるのがミソの役目。ここでパニくってても仕方が無い。
 まずは郵便局へ行き(笑)お金をおろしてから、病院へ向かう。全額自費だからおサイフには痛い。・・でも、考えてみれば過去に愛犬を看取った時もこんな感じでせっせと病院通いにお金を使ったなぁ~、それを思うと別に高価でもないや、他に買いたい物があるわけじゃなし・・とへんな感慨に浸りつつ、病院へ到着。

 内診してもらう。こんな時なのに、たーちゃんは前々日より1.5ミリくらい大きくなっている。
 頑張れ、頑張れ。

 「出血は多いけれど、このまま様子を見て下さい」とドクター。
 そうか・・何もしないのか。

 ネットで検索したり、むかし大好きだった生物の授業を思い出したりしてみると、今この時期は細胞が様々な分化をして組織になり始める頃。外胚葉内胚葉とか卵黄プラグとか脊索とか(←懐かしい?)。
 そういう時に、流産を防ごうとして例えば催奇性のある薬剤なんか使った日にゃ、どうなることか。

 今は、何もできない。
 たーちゃんに宿っている力だけが頼り。たーちゃんの生命力、たーちゃんの運命を、ただじっと見守るだけ。
 もし仮にたーちゃんの寿命がここまでならば、その流れを止めることは誰にもできないんだ。しみじみと、そう感じた。どんなに医学が発達した今でも、できることには限界がある。

 生命の不思議。その現場にいま、立ち会っているんだぁ・・

 「家で生活をしていて、何か気をつけることはありますか?」と聞いてみた。そしたらドクターは困惑したような表情をして一言。
  「無いです」
  え?・・無いの?・・安静にするとか~、お風呂は止めときなさいとか~・・
 「あまり神経質にならずに、普段どおりで良いですよ」

  ・・本っ当に何も、この事態に対し自ら努力して為せることは無いのね・・
 
 帰宅して、ウソ君にその日の結果を伝える。「もし絶対安静とか言われたら、家事を全部ウソ君にやってもらえる~♪って思ってたのに、残念」と言ったら、ウソ君が大声で笑った。

 ごめんね、心配させて。