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憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

鰻飯

2022-09-14 16:12:34 | 作品に寄せて・・

土用の丑になると、親父は鰻を、炭火で焼いた。
普段は魚屋の白焼きの鰻をしいれて、
一緒に骨ももってこさせて、
骨を天火で焼いて、鰻のたれを作る。
ところが、土用の丑の日は、
炭をいこらせ、
骨もそこでやいて、
新たれを作った。
鰻が取れる地方であったせいか、
小僧寿しなどにいくと、鰻の白焼きのにぎり寿司というメニューがあったものである。
このせいか、今でも寿司を握る時も
必ず、鰻の蒲焼は購入していた。
薄めにそぎ切りにしておいてから、
たれをかけて、レンジで加熱しておく。
ところが、中国の事件(危ないものが混入)とか、
日本産という商品偽装などにより、
鰻の値段が上がってしまった。
気持ち、中国産はさける・・・し。
小ぶりの鰻も最近は見かけず、
小ぶりなのは、日本物ということか?
新たなる偽装か?
でかい中国産の鰻をかってしまったら、
鰻の寿司だけで終わってしまう・・・。
最近は握りセットなんてのも、売ってるけど
鰻は入ってない。
アナゴで代用という手もなきにしもあらずだが、
やはり、鰻が良い。
で、食いたいと不安と大きさとの、バランスが崩れたら
鰻を買うことにしている。
大きめの場合、次の日は鰻の混ぜご飯にあいなる。

**********

原田は采こそ数はいうが、飯の御代わりにはこだわらない。
それこそ、丁稚が路の端で腹をすかして倒れこんでは、

豪商原田の沽券に関るという。
「たるほど、くわせてやれ」
腹がくちれば仕事に精もでるという。
原田の面子がきいてか、確かに丁稚はよく動く。だが、うっかりするとこの飯さえなくなる。
「だんなさまはふとっぱらだから」
お重はわらう。
朝三暮四でしかない。
が、確かにひもじい思いを抱えない丁稚は安心する事をしっている。
「あら?」
沖田はんを呼びに行ったお勝がかえってきていた。
「今きはります」
「あんひとは細すぎる。たんと、食べてもらわにゃあの」
国なまりがちっとも直らないお重であるが、お勝の意見も同じである。
「原田の家に来て肥えたといわせにゃあ」
どうやら、旦那の客人格には何か別のものを用意しているようであった。
「ほれえ」
鍋の中をみせる。
「まあ?」
鰻である。平賀源内が精がつくと請け負った鰻をどこで誂えたか。
「だんなさまも?」
「さっき。お部屋のほうにこっそり」
原田は叩きあがりの人間である。
今もくどの板敷きで丁稚ともども同じ飯を食うを習いにしている。
だから、やはり居候宜しく長居をする客人は
原田と同じに飯を食うことになる。
「では?」
沖田も皆の前でご馳走はづつなかろう?
「ほうどすな」
勝は得心するとやってきた沖田を振り替えった。
「沖田はん。居間にいきまひょ」
「はあ・・」
きょとんした沖田である。
「鰻おめし・・どすえ」
「あ」
みなの手前ここで食べられるわけがない。
みんなに申し訳ないというより先に
「やあ・・ご馳走だ」
素直に喜んだ後に
「もうしわけないですね」
と、こっそりつぶやいた。


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