少年の意識が再び混濁して行く。
少年はあたしを呼ぶ。
「エンジェル・カム・ヒヤア・
アイム・スティル・ヒヤア」
僕はココに居るよ。
ねえ、ココに来て。
少年の怖れは死にいく恐れ。
彼は怖くて、
怖くて、あたしを呼ぶ。
「ココに居るよ」
何よりも確かなものは、言葉じゃ伝わらない。
あたしは彼の手を握り締めたんだ。
いくばくか彼の精神は落ち着きを取り戻し、
あたしの手をさするようになぜると、
あたしの存在を確認できたようだった。
あたしの後ろに並んだ兵士達は
固唾をのんで
彼を見守っている。
そのとき。
彼の手術を要請した兵士が
彼の服を解きだした。
何を?
あたしが兵士を制止するより先に
彼の懇願の言葉が
「頼む」とあたしの耳に届き
少年の生を訴える下半身の一部の直立が
さらけだされていた。
死を前に
命を生み出して行く
生殖行動の基本が
命を主張していた。
生きていたいんだと。
生きているんだと。
彼の本能が
精一杯叫んでいたんだ。
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