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憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

竈の神・・15

2022-11-12 19:19:34 | 竈の神  白蛇抄第18話

「ところでの、おまえは

なぜ、銀狼が、邪な神だというか、

わかっておるのか?」

「先にいわれたように、憑りついて・・・」

法祥の言葉を半分も聞かぬうちに

白銅は違うと首を振った。

「憑りつくと守護するの違いは判るか?」

「憑りつくは、憑りつく側の身勝手で

相手を利用している。

守護は、相手の為だけを考えて守っている」

「ふむ・・・おおかたは合っているがの

大きな違いは、相手の根源力を増やすか

減らすか 場合によっては

生きとおす力を与えるか

生命をうばうか

それくらい違いがある」

「確かに・・・犬神に憑かれたものは

最後には狂うとききます。

それほどに、生命力を削がれる・・・」

「それは・・・少し違う。

憑りつくというのは、

そもそも、憑りつく側の根源力が少ないから

そうなるのだ」

「根源力が多ければ、相手に

さらに、根源力・生気を与えられる

と、いうことですね?

それが、守護するということ・・・」

「悟りが早いのはよいことだがの。

わしが言うのは、なぜ犬神が邪であるかということだ」

「守護とは逆に、憑りつく側の根源力が少ないので

相手から、根源力や生気をうばってしまう・・

と、いうことで・・・」

白銅が法祥をじっと見ていた。

その目は、法祥が言うことは

ただの鸚鵡返しでしかないと諭していた。

「根源力や生気をうばうだけでは、狂いはせぬ」

「では、なぜ?」

白銅に導かれていると判りながら

問いをだす法祥になる。

「おまえ、坊主なら、一霊四魂は知っておるだろう」

法祥、答えに窮す。

「私は奥義を修得するまえに・・」

伊予の事で寺を出ていくことになった。

多少、言葉は知っているが

陰陽師のいう一霊四魂と考えが違うかもしれない。

「なるほどの」

なにか、知っている様で、知らぬから

悟るにうとい、と、いうわけか。

「一霊四魂は、霊であるのは、判っておると思うが

これは、自分の柱のようなものだ。

実体は握りこぶし位の大きさで、

臍下丹田に巣をつくっている。

そして、四魂。

神代の時から、荒魂、和魂、幸魂、奇魂 と

存在していると言われているが

ようは、ー気ーだ。

思いといってよいだろう。

そのー気ー思いーの在りように

載ってくるのが、「守護」だと考えてよい。

極端に言えば 悪い思いをもてば

悪い守護がつく。

よい思いを持てば

良い守護が付く。

ところが、憑りつくというのは

一霊に載ろうとする。

柱を我が物にしようとするのだ。

ところが、そうは簡単に載ることができない。

と、いうのも、一霊というのは、

天の分かれだからだ。

柱を我が物にしたいと載ろうとするとき」

そこで、白銅はすこし、どう言おうか考えた。

法祥に判りやすい例えを考えた。

「そうだな。

例えば、柱をわがものにする「悪さ」をする虫がおろう」

法祥もすぐ思い浮かぶ。

「生木なら天牛(かみきりむし)

柱になっていれば、白蟻や木喰い虫がいます」

「そういうことだ。

憑くというのには、一霊に穴をあけて貪る場合がある

柱である一霊をぼろぼろにされてしまったら

狂う。

家一つ考えてもわかろう?

柱がもたなくなれば、家の寸が狂いはじめる。

それと同じだ」

「そ・・それが憑くということで

犬神は、そのようなことをしていると?」

「それは、判らない。男をみてみないと

銀狼が一霊を蝕んでいるのか

そうでなく、たんに 四魂を病んでしまっているのか

判らない」

やっと、法祥は得心した。

「だから、男に逢いに行く ということだったのですね」

「そういうことだ」

魯を漕ぎ続けていた白銅の手がとまり

余力で舟は軽く進んでいた。

「もうじきだ。三井に上がって都にぬけよう」

眼を凝らすと、むこうの岸が見える。

一角に小さく三角にみえる屋根は三井寺であろう。

「あとは、私があないします」

法祥にできることは、喜んでてつなうことだと思った。

 

 

 

 

 

 

 



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