風韻坊ブログ

アントロポゾフィーから子ども時代の原点へ。

アントロポゾフィー指導原理 (58)

2008-11-07 11:36:26 | アントロポゾフィー指導原理
58.
鉱物界は、人間のいま、この瞬間の「かたち」のなかに認められる。植物界は、「生成」と「成長」の基盤としてのエーテル体として、人間のなかに存在している。動物界はアストラル体として、人間の感覚と意欲を展開するインパルス(衝動)となっている。この感覚と意欲が人間のなかで「意識化」され、頂点に到ったものが、「自己意識的」な精神活動である。この自己意識的な精神活動において、人間の霊界との結びつきが明らかになる。(訳・入間カイ)

58. Das mineralische Reich ist in der augenblichlichen Gestaltung des Menschen zu erkennen, das pflanzliche ist als Ätherleib die Grundlage seines Werdens un Wachsens, das tierische als Astralleib der Implus für Empfindungs- und Willensentfaltung. Die Krönung des bewußten Empfindungs- und Willenslebens im selbstbewußten Geistesleben macht den Zusammenhang des Menschen mit der Geisteswelt unmittelbar anschaulich. (Rudolf Steiner)


前項(57項)で、
「かたち」とは本来、霊的なものであると書きました。
シュタイナーのいう鉱物界は、
いま、この瞬間に、人間の「かたち」を満たしている物質のことです。
地球上のすべての存在は、
そのような霊的な「かたち」が
物質という素材に満たされることによって、
目にみえるものとして存在しているわけです。

しかし、それだけでは、
目にみえるものとなった物質は、
動きだすことも、発展(進化)することもありません。

動きや進化が生ずるためには、
生命の基礎としてのエーテル体(生命体)が必要です。
つまり、
進化したり、発展したりするすべての生物には、
エーテル体が備わっていることになります。
人間(そして動物)も、成長し、発達する存在なので、
植物と同じように、エーテル体を共有しています。

しかし、植物のあり方だけでは
何かに対して意欲を働かせて、そこに移動したり、
その時々で恐怖や喜び、不安や安堵の気持ちを感じることはありません。
そのためにはアストラル体(感覚体)が必要で、
それによって人間も、動物も、
「心の働き」(内面の動き)をもっているのです。

つまり、
エーテル体は、成長や発展、増殖といった、
いわば「外からみえる動き」をもたらし、
アストラル体は、感覚や感情という心の働き、
つまり「外からはみえない、内面の動き」をもたらすといえます。

そして、人間の場合、
ただ感じ、ただ意欲をもつだけではなく、
自分自身の心の動きを見つめることができます。
「こういう感じ方をしてはいけない」とか、
「この考え方は正しいのだろうか」などと自問自答するのは、
人間だけであろうと思います。
そして、そうした自問自答のすえに、
自分自身のあるがままを見つめ(つまり自己意識的に)、
自分が本当に目指しているところに向かって生きようとするとき、
そのあり方は、人間特有の「精神活動」を示しています。

そして、その精神活動は、明らかに
「霊界」とつながっているというのです。
なぜなら、
私たちが何かを本気で目指すとき、
その何かは、まだ目にはみえない「霊的」なものだからです。
しかし、人間はその霊的なものを自分の「目標」として捉え、
その実現に向けて努力することができます。

つまり、私たちが人生のなかで
「動機」とか、「目標」とか、「生きがい」として感じていることは、
すべて「霊的」なことなのです。
そして、私たちが何らかの目標を設定し、
実際に、この地上でその目標を達成したとき、
それは「目にみえないもの」を「目にみえるもの」にした、
つまり「霊的なもの」を「物質化」したことになるのです。

だから、人間が自己意識をもって精神活動を行うとき、
そこには明らかに「霊性」と「物質」との結びつき、
目に見えないものを目に見えるものとして表そうとする
人間の「霊界」との結びつきがはっきり現われているというわけです。

これからの指導原理では、さらに
そのような人間のあり方を詳しく見ていくことになります。

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1 コメント

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Unknown (shouko)
2008-11-08 08:56:40
見えないモノを見えるモノにする・・・
全身に響きわたる音でした。

カイさんの中を通って流れ出てくる言葉達が、
私の中では音楽として鳴り始めています。

美しい音楽をありがとうございます。
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