植物生態学者の見た「自然と山の幸」

刻々と自然は移り変わり,人工の景観が,自然の植生を破壊する。さあ!大変。せめて食べられる野生植物のすべてを次世代へ残そう

春先のニリンソウが美味

2009-02-20 20:43:43 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法

〔キンポウゲ科・イチリンソウ属〕 分布域広・個体数多

《情景》 雪が融けた沢ぞいの落葉林,湿った山地の林縁などに,春早く群がって
芽吹き, 4~5月ころ,白い5弁花をひらく。

カタクリも,アマナも,エゾエンゴサクも,早春に花ひらき, 間もなく枯れる,
春のつかの間の命 spring ephemeral 。

ニリンソウも, エフェメラル(はかない,短命)な草だが,葉が茂ってから,
花が咲き, エゾエンゴサクより結実がおそく, 夏になって地上部が消えうせる。

《性状》 軟らかい多年草。根茎はやや太く, 地中に横臥し,根葉は数個, 長柄が
あって, 3全裂し,側片はさらに2深裂または全裂。頂小葉は菱状倒卵形, 長さ
2~4cm,幅 1.5~3.5cm,中裂し粗鋸歯がある。陽光をあびた若葉は, しばしば
ゲンノショウコや, キンポウゲのように, 紫褐色の斑が入る。

花は総苞葉の中から,1~3個の花梗を,長さ 5~10cmにのばし,先端に白色,
ときに帯紅色の花をひらく。花弁状となった萼片は楕円形,5個(ときに
7個),長さ 8~15mm,雄しべは黄色で多数,花柱はきわめて短く,痩果は
 卵形,長さ約 2.5mm。

《採取・料理》 葉は有毒のトリカブトと紛らわしいので, 慣れないうちは, 白色
 の5弁花を見て摘むようにする。 低地では3月下旬から,ふつうは4~5月頃,
若葉と葉柄,花茎を摘む。
塩ひとつまみ入れた熱湯でゆで,冷水にさらし,ゴマあえ,白あえ,すまし汁,
 卵とじ,辛子マヨネーズ,バター炒めなどがいい。
生の葉に塩をまぶしてもみ,刻んで,炊きたてのご飯にまぜ,野趣たっぷりの
 青臭さを味わう。

◎花をコーヒー・ゼリーに封じこめたり,抹茶寒天よせにするのも風流。
  花を摘みあつめてゆで, 甘酢, 酢のものなどを味わう。

《分布》 北海道, 本州, 四国, 九州の林地にふつうに見られ, サハリン, 朝鮮~
中国(北部,東北部)~ウスリーに分布。

《学名》 Anemone flaccida Fr.Schum.

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