
コナラが紅葉し始めた頃,地上ではウドの実が鈴なり。
〔ウコギ科・タラノキ属〕
《情景》 野山で,地上にでた若芽は,短い毛をいつぱいつけて,ときには紅褐色,
紫褐色をおびている。下のほうは大部分が,まだ土の中にあって,白く,太く,
味がいい。
栽培の「もやしウド」は,白い茎に,きれいな紅色をぼかし,ほのかに薫るが,
野生の「山ウド」は,荒々しく毛がはえ,刺激性の味と香りが峻烈。
どちらも,魅力的だけれど, 栽培ウドも, 山ウドも, おなじウドという「種」。
野山で, いちどでも, ウドの若芽を見て, 姿を覚えた人なら, 芽ばえから結実
まで, ほとんど見まちがえることなく,「ウドだ」と言いきれる,
芽ばえた嫩茎(どんけい→わかい茎)には,それほど,強烈な特徴がある。
しかし,山菜本1冊をたよりに,中部地方以北の山地へ,山ウドとりにでかけ
る人は, たぶん,セリ科の「にせウド」たちに悩まされるだろう。
丘陵地では,ノダケ,山地にかけては,シシウド,オオハナウドなど,偽もの
が待ちうけている。山ウドは,知っている人から,山で教わる山菜だ,とおもう。
《性状》 大形の多年草。丘陵地から山地にかけて,明るい谷間,道端の崩壊した
ゆるい斜面,雑木林の湿りの多い林縁などにはえ, 高さ 1~1.5m。
短い剛毛のある太い茎を直立, 大きい2回羽状複葉を互生。小葉は各羽片に,
5~7個,卵形~長楕円形,鋭尖頭,長さ 5~16cm,幅 3~8cm,細鋸歯があり,
両面に短毛がある。
花は8~9月(低地では9~10月),茎先と上方の葉腋から,長い花軸がのび,
球形の散形花序を総状につける。花は淡緑色,径約 3mm,花弁は5個。
液果は,球形,径 2~3mm,9~10(~11)月に熟し,紫黒色。
《若芽の採取》 暖地では3月から,雪の地方では4~5月,高冷地では5月中旬
~6月中旬,枯れ草の中から,短毛を密生した太い芽が出てくる。
遅霜のころに,ほんのすこし地上にでた芽は,しばしば紅褐色か紫褐色に染まっ
ている。
若芽の近くを探すと,前年の枯れた茎あとが見つかる。そのあたりの地中から
今年の若芽がのびてくるので,ナイフか,鎌(かま)を,土の中に深くさしこみ,
茎の根元から切りとると,若いウドの芽が地中から抜けてくる。
《ウドの料理》茎の下方の白い部分は, 皮をむき, 薄切りにし, 酢を落とした
冷水にさらし, 野菜サラダに入れたり, みそドレッシングで食べる。
むいた皮は細切りにし, 流水にさらしたのち, きんぴらにする。
◎とりたての白い部分には,苦みはないが,色づいているところは,苦みがつよいから,
熱湯に塩を入れて,手早くゆで,冷水にさらし,根元は皮をむき,芽先の
青いところも,いっしょに,ワサビ・マヨネーズ,酢みそ,油炒めなどで味わう。
育ちすぎのウドでも,ゆでて水にさらすと,アクと苦みがぬけて,芽先まで食べることが
できる。
◎旬(しゅん)をすぎ,高さ50~60cmに育ったウドでも,ひらき切らない茎先
の若葉をフライ料理にできる。
根元から刈りとり,ひらきだしている葉は,すべて切りすて,根元から芽先
まで,
1本の真っすぐな茎に整理し,そのような茎をあつめ,塩漬け,粕漬け,
みそ漬けにする。塩づけのウドは,5~6カ月後から,とりだして食べられる。
4~5分間,熱湯でゆで,流水にさらして塩をぬき,油炒めにする。
塩漬け,粕漬け,みそ漬けのウドは,葉先まで食べることが
できる。
◎高冷地の芽先や,新しい若葉は,8月はじめまで,佃煮か,天ぷらにできる。
◎花と蕾,うす緑色のごく若い果実は,穂のまま摘みとり,薄くコロモをつけ,
姿揚げにする。花火がひらいたような形が美しく,香りがいい。
◎黒く熟した果実を,ガーゼなどで包み,3~5倍量のホワイト・リカーなど
に漬け,果実を30~40日で引き上げる。 3~5カ月で,紫紅色,橙紅色,赤み
のあるコーヒー・ブラウン色のリキュールになり,香りのいい辛口に仕あがる
《分布》 北海道,本州,四国,九州。千島,サハリン,朝鮮~中国。
《学名》Aralia cordata Thunb.
〔ウコギ科・タラノキ属〕
《情景》 野山で,地上にでた若芽は,短い毛をいつぱいつけて,ときには紅褐色,
紫褐色をおびている。下のほうは大部分が,まだ土の中にあって,白く,太く,
味がいい。
栽培の「もやしウド」は,白い茎に,きれいな紅色をぼかし,ほのかに薫るが,
野生の「山ウド」は,荒々しく毛がはえ,刺激性の味と香りが峻烈。
どちらも,魅力的だけれど, 栽培ウドも, 山ウドも, おなじウドという「種」。
野山で, いちどでも, ウドの若芽を見て, 姿を覚えた人なら, 芽ばえから結実
まで, ほとんど見まちがえることなく,「ウドだ」と言いきれる,
芽ばえた嫩茎(どんけい→わかい茎)には,それほど,強烈な特徴がある。
しかし,山菜本1冊をたよりに,中部地方以北の山地へ,山ウドとりにでかけ
る人は, たぶん,セリ科の「にせウド」たちに悩まされるだろう。
丘陵地では,ノダケ,山地にかけては,シシウド,オオハナウドなど,偽もの
が待ちうけている。山ウドは,知っている人から,山で教わる山菜だ,とおもう。
《性状》 大形の多年草。丘陵地から山地にかけて,明るい谷間,道端の崩壊した
ゆるい斜面,雑木林の湿りの多い林縁などにはえ, 高さ 1~1.5m。
短い剛毛のある太い茎を直立, 大きい2回羽状複葉を互生。小葉は各羽片に,
5~7個,卵形~長楕円形,鋭尖頭,長さ 5~16cm,幅 3~8cm,細鋸歯があり,
両面に短毛がある。
花は8~9月(低地では9~10月),茎先と上方の葉腋から,長い花軸がのび,
球形の散形花序を総状につける。花は淡緑色,径約 3mm,花弁は5個。
液果は,球形,径 2~3mm,9~10(~11)月に熟し,紫黒色。
《若芽の採取》 暖地では3月から,雪の地方では4~5月,高冷地では5月中旬
~6月中旬,枯れ草の中から,短毛を密生した太い芽が出てくる。
遅霜のころに,ほんのすこし地上にでた芽は,しばしば紅褐色か紫褐色に染まっ
ている。
若芽の近くを探すと,前年の枯れた茎あとが見つかる。そのあたりの地中から
今年の若芽がのびてくるので,ナイフか,鎌(かま)を,土の中に深くさしこみ,
茎の根元から切りとると,若いウドの芽が地中から抜けてくる。
《ウドの料理》茎の下方の白い部分は, 皮をむき, 薄切りにし, 酢を落とした
冷水にさらし, 野菜サラダに入れたり, みそドレッシングで食べる。
むいた皮は細切りにし, 流水にさらしたのち, きんぴらにする。
◎とりたての白い部分には,苦みはないが,色づいているところは,苦みがつよいから,
熱湯に塩を入れて,手早くゆで,冷水にさらし,根元は皮をむき,芽先の
青いところも,いっしょに,ワサビ・マヨネーズ,酢みそ,油炒めなどで味わう。
育ちすぎのウドでも,ゆでて水にさらすと,アクと苦みがぬけて,芽先まで食べることが
できる。
◎旬(しゅん)をすぎ,高さ50~60cmに育ったウドでも,ひらき切らない茎先
の若葉をフライ料理にできる。
根元から刈りとり,ひらきだしている葉は,すべて切りすて,根元から芽先
まで,
1本の真っすぐな茎に整理し,そのような茎をあつめ,塩漬け,粕漬け,
みそ漬けにする。塩づけのウドは,5~6カ月後から,とりだして食べられる。
4~5分間,熱湯でゆで,流水にさらして塩をぬき,油炒めにする。
塩漬け,粕漬け,みそ漬けのウドは,葉先まで食べることが
できる。
◎高冷地の芽先や,新しい若葉は,8月はじめまで,佃煮か,天ぷらにできる。
◎花と蕾,うす緑色のごく若い果実は,穂のまま摘みとり,薄くコロモをつけ,
姿揚げにする。花火がひらいたような形が美しく,香りがいい。
◎黒く熟した果実を,ガーゼなどで包み,3~5倍量のホワイト・リカーなど
に漬け,果実を30~40日で引き上げる。 3~5カ月で,紫紅色,橙紅色,赤み
のあるコーヒー・ブラウン色のリキュールになり,香りのいい辛口に仕あがる
《分布》 北海道,本州,四国,九州。千島,サハリン,朝鮮~中国。
《学名》Aralia cordata Thunb.