昨年の年の瀬に飛び込んできた衝撃的なニュースを,読者の皆さんならばよくご存じだろう.12月21日,HDDの有名なブランドであった Maxtor を,やはりHDDの有名ブランド Seagate が買収したのだ.この超大型買収は,PC・IT業界にのみならず,家電業界にも多大な影響をもたらす大事件だ.もちろん,長年,PCを自作してきた者にとっては,計り知れない衝撃だっただろう.特に,Maxtorをずっと愛用してきた,私のようなユーザーにとっては…
通常,PCのHDDを選定するにあたっては,「接続形式・容量・価格・回転数・バッファ量・シークタイム」といった基本スペックのみならず,次のようなスペックにも注意を払うべきだろう.
- 寿命(MTBF)
- 発熱量や排熱効率
- 最高動作環境温度
- プラッタ数
- シーク時及びアイドル時の動作音
- ランダムアクセス向きか,シーケンシャルアクセス向きか
ただし,その後導入した,MaxLineシリーズは,熱に弱いのか,一夏で20セクタほどの代替処理が行われていた.しかし,シーケンシャルな書き込み速度はかなり速く,バックアップ用のHDDとしての性能を,遺憾なく発揮してくれた.
もちろんSeagateも使ってこなかったわけではない.特に最初に購入した 流体軸受のbarracuda IV(ST380021A) は,衝撃的ですらあった.2002年6月に購入したこのHDDは,自分にとっては初めて出会った「無音HDD」だったのだ.しかし,そのモデルかどうかは失念したが,その後,強烈に発熱するモデルに出くわして,運用中に大量のバッドセクタを発生させてしまった経験があり,それ以来Seagateから遠ざかってしまった.
「強烈に発熱」というフレーズは,正確ではないのかも知れない.というのもこのトラブルの原因は,実際には「発熱」と言うよりも,「排熱」に問題があったと推測されるからだ.おそらく静音化のためだろうが,このHDDの裏(基盤側)は,スポンジを貼り付けた金属板でフタがされており,とても効率よく排熱出来る構造とは思えなかった.
このSeageteの静音化へのこだわりは,パフォーマンスの低い廉価版モデルでも見られた.廉価版U4シリーズから始まったと記憶しているが,これら廉価版のHDDには,いわば裸ではなく,「パンツ」をはいていた.これが有名なSeageteの「ゴムパンツ」だが,これは防振用=静音のための着用だったようだ.しかしやはり,HDD表面を被ってしまうこのゴムパンツは,排熱の観点から見れば,邪魔者以外の何者でもなかった.
自分の経験からすると,Maxtorは,先進的機能の取り込みには消極的だったものの,「標準的技術で壊れにくいHDD」を作り続けてきた気がする.今後は,燃えたチップで火傷した思い出のあるQuantumのFireballシリーズが,MaxtorによるQuantumHDD部門買収後も発売され続けたように,SeageteからDiamondMaxシリーズやMaXLineシリーズが発売され続けるのだろうか?少なくとも,MaXLineシリーズやAtlasシリーズといった,企業向けの製品ラインについては,継続して製造されるとは思うが,仮にデスクトップ向けのDiamondMaxシリーズが製造中止になった場合,Maxtor御用達のユーザーは,どのメーカーの製品を今後購入するのだろうか?私としてはHitachi(HGST)が第1候補としてあげられるが…
参考資料: