明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

北朝鮮とアメリカと日本

2018-04-24 00:46:10 | ニュース
北朝鮮の問題はトランプの世界戦略の一環だ、という主張は的を得ていると考えてきた。これは「田中宇の国際ニュース解説」の受け売りだが、どうも最近の動きを見ると「ますます本当らしい」と思ってきた。シリアに対する化学兵器濡れ衣嫌疑を理由にしたロケット攻撃で中東を手放し、北朝鮮との首脳会談を上手い具合に丸く治めて東アジアの覇権を中国に渡す「アメリカファースト作戦」は、着々と進んでいるのである。アメリカはトランプがよくわからない大統領なので「あちこちで的はずれな事をやって」どんどん覇権を失っている、と世間は思っているが、案外とやってることは「一本筋が通って」いる。それは基本的には「中国・ロシアは敵でなく味方」という事である。

いまや世界第二位の経済大国になり、もうすぐ世界一になろうとして躍起になっている中国は、トランプにしてみれば「宝の山」である。だから何だかんだ言っても「経済パートナー」の中国とは、喧嘩する気は「全然ない」のだ。じゃあ、アルミなどの関税を上げて貿易戦争を仕掛け、中国を敵に回すような真似をしたのは何故か?というと、これは彼一流の交渉戦術である。第一アルミなどの品目は中国からしてみれば「大して痛手にはならない」、むしろ「日本のほうが痛い」のだ。田中宇は日本を中国に押し付けて、自分はサッサと「中国市場を貪る」つもりだろう。トランプは一触即発な状態に持っていって「いきなりひっくり返す」技が得意である。だからツィッターを使って「正式ではない」発言で煙に巻く方法を使っているのだ。

中東では何だかんだ言っていても結局イスラエル・トルコ・イラン・サウジという主要メンバーが全部、ロシアの指導のもとに不肖不精だがまとまってきた。せっかくまとまりそうな時に化学兵器疑惑でロケット攻撃をするのはおかしいと思う人もいるだろうが、まとまる話に水を指しているのがトラッンプ=アメリカであり、結果として彼の戦略では、「中東の人民は全員」がアメリカを信用しない方向に否が応でもなっている。イラクでは占領後にアメリカ批判が強まり、アルカイダやISが跋扈して結局最後はイランのシーア派の国になった。シリアもシーア派が優勢であり、IS支持のサウジ・トルコはイスラエルと一緒になってシリアを転覆しようと頑張ったが、イランを後押しするロシアの軍事力の前に「ロシア主導で中東和平」になりそうである。アメリカは人権問題などを持ち出して紛争を長引かせようとしているが、結局出鱈目な情報に基づく武力行使を非難されて悪者になり、世論は平和を願う形のロシア側のソフト路線に押しやられる、という結果になっている。アメリカは中東では「正義の味方ではなくなっている」のだ。

では東アジアではどうかというと、「北朝鮮との戦争を厭わない」と散々悪口を撒き散らした挙げ句、南北融和の流れにちゃっかり乗っかって「一気に和平実現」に持ち込みそうな勢いである。よく考えてみれば分かると思うが、アメリカは北朝鮮など「どうでも良い」のである。そう、相手にしてはいないのだ。要は共産国家のロシアと中国に対峙するために「韓国と日本」という防波堤を作って「休戦のままにしてある」だけなのだ。その中国が「宝の山」なのだから、わざわざ北朝鮮と事を構える「理由がない」ではないか。韓国との南北融和も「どーぞ好きなように」やってくれ、と言わんばかりだ。マスコミはアメリカの世界戦略が未だに「資本主義対共産主義」で動いているかのように描いているが、真実は「もう全員が資本主義国」なのである。あとはどれだけ「設けるか」の勝負なのだ。

アメリカは今でも特許の数や内容で「世界ナンバーワン」である。GDPもダントツである。戦争なんかやるより自由に経済を発展させた方が「もっと儲かる」に決まっている。世界にはまだまだ「遅れた地域がいっぱいあって」、とても高価な電化製品やゴージャスな家具やおしゃれな服などの消費財を買えないのが現状だが、経済が回っていくことで「生活が良くなり物が買えるようになって」来るのである。その経済を回すことは「戦争をなくす」ことと表裏一体なのである。だからトランプの頭の中は「経済・経済」なのだ。だが大統領になりたての頃、ロシアのプーチンと大の仲良しだったのに、今では「仇敵」のように悪者扱いである。これは自分が悪者になって見せることで「逆に国内の反対勢力(軍産マスコミ)を黙らせる効果」があると、田中宇は裏読みする。

トランプが大統領になって以来、結局は「戦争が縮小する方向に」世界が動いているのがその証拠である。中国の南沙諸島問題など、いまでは誰も騒いでいないが、一時は「米中戦争か」と世界が注目していたはずである。それを中国にアジア覇権を任せることで安定した経済発展を促し、イギリスがユーロ離脱をしたことで「世界はアメリカ・中国・EUで分割する」形の多数並立覇権体制に持っていく、これがトランプの戦略である。だから米朝首脳会談は「北朝鮮の核凍結と制裁解除」で成功、拉致問題は北朝鮮の「前向きの姿勢表明」でスルーされるのではないか。要は北朝鮮の問題は「そろそろ面倒くさいから終わらせる」のである。そして「中国のアジアにおける極」を積極的にバックアップし、一気に貿易問題を逆転させて「中国市場になだれこむ」考えだ。戦争なんか、してる場合ではない。

そこで邪魔になるのが「忠実なアメリカの犬」日本である。日米安保を頑なに守って「共産主義と対決する」安倍政権が日米首脳会談で得た成果は、「TPPは嫌い」と「関税は優遇しない」で、経済は「全負け」である。最大限の制裁をかけ続けることと拉致問題は「了承された」みたいだが、北朝鮮からはいまでは「日本が一番の敵」みたいな言われようで、もし万一「アメリカからハシゴをはずされたら」四面楚歌なんてもんじゃ「無い!」のだ。安倍首相はいい加減に拉致問題などの「些末な事件」を捨てて「日本の将来」という大義に目を向け、中国と和解して「経済を発展させる」ことを第一の目標とし、将来は「中国覇権の輪の中での成長」を目指すべきである。

拉致問題だって「国家の大問題」だと騒ぎすぎた結果、北朝鮮の面子が立たなくなって頓挫しているのだ。地道に国交を回復して、それから個人のレベルで被害者を救済していけば、もっと早く解決していたような気がする。要は帰ってくればいいのであって、「北の国家的犯罪だ」と糾弾するから相手も「頑なに拒む」のではないか。拉致問題は「表面上は個人の問題」にするのが良いと思う。つまり、知らない内に「帰っていた」、とかである。マスコミが大々的に取り上げるから、政治家も点数稼ぎに大声を出す。本当は「うんざり」しているのだ。それより中国との軋轢を「なんとかする」事を考えたほうが良い。今は中国も日本の悪口を余り言ってないので、「いまこそ正式に謝罪して正常に戻すべき」ではないだろうか。今なら中国も「受け入れる」気になる、と私は踏んでいるのだがどうだろう。トランプの世界戦略に「取り残されないため」には、アメリカは中国とは「友好関係を築いていくつもり」であることを忘れてはならない、これが日本の将来を決める「キーワード」である。

で、米朝首脳会談が「成功裏に終わる」とすれば、次に韓国に駐留中の米軍撤退があり、最後に「日本から米軍がいなくなる」という段取りで、日本の安全保障は「中国が見る」ことになる、というのが私の20年後の未来予想図である。考えてみれば尖閣諸島問題だって「いまでは完全に忘れられている」ではないか。イラン・インド・中国の大国がそれぞれの地域で覇権を確立する中で、日本はどこに向かえば良いのだろうか。一見難しそうに見えるのだが、まずは日米地位協定から始めるのが良い。日本が真の独立主権国家として生きて行こうと言うのであれば、日米地位協定を破棄して対等の関係を結ぶべきである。日本はもう、「アメリカに負んぶに抱っこ」ではないと思うんだけど。

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