お笑い芸人というスタンスはとっくに卒業して、今やニュース番組でMCをも務める立派な文化人になった田村淳。彼がコミュニケーションの本を出したという。まあ普通に考えれば、我々一般人は他人と仲良くコミュニケーションを取りながら楽しい人生を送りたいと願っている筈です。ストレスなく円滑な人間関係こそが、我々の求めて止まないものでしょう。しかし色々な相手と上手にコミュニケーションを取っていくというのは非常に難しい。我々は社会人になってから「ずっと」それに悩まされてきた、というのが本音でしょう。何か秘訣は無いだろうか?。と言うわけで、芸能界でもコミュニケーション能力が高いと評判の田村淳はこの問題をどう考えてるかと思って読んでみました。幸い Amazon の読み放題に入っていたので早速ダウンロードした次第です。
で、結果はどうだったかというと、流石に「デキる人は違うな」と感じました。
それは何か特別なことをするとかずば抜けた才能を持っているとかそういう話では無く、ただ普通の、人間関係において単純に「やるべき事をきっちりやるだけ」のことだったんです。言うならば、清潔な人は必ず毎日風呂に入り食後には歯を磨いているというのと一緒なんですね。ただひたすら真面目にそれを続けている、そういう事です。
最初は「なぁ〜んだ」と思いましたが、日頃の自分の行動を振り返ってみると「呆れるほど全く出来てない」事にホントびっくりします。
実はゴルフ帰りに飲み会に誘ってくれる仲間がいるのですが、最近メンバー内で意見の食い違いから口論になることが、まま有ります。だいたいSN氏が会話の主役になってSY氏が応答するというパターンだったのが、時々二人が対立して修復不能になる事があるんです。老人あるあるでしょうか。
それを思い出しながらこの本を読むと、実に明確に答えが書いてあるじゃありませんか!(二人に読ませたい位です)。
まあそれは冗談としても、コミュニケーションとは本に書いてある通り「ちゃんとやれば必ず上手く」ものだと分かりました。では何故皆んな悩んでいるんでしょうか?
答えは自分の「心の中」にあります。人間は本当は自由気ままに生きたいんです。やるべき事をやりさえすれば必ず上手くいく筈なのに実際の生活では「他の事を優先させてしまう」んです。何故か?
人は誰しも主役でいたいし、やりたい放題好き勝手に生きて面白可笑しく人生を楽しみたいと願っています。要するに「どうやってその我儘に他人を従わせるか」が最優先事項なんですね。人間って、仲良く生きるのが本当に苦手な生き物じゃないかとさえ思ってしまいます(最近中国の歴史を勉強していますが、殺し合いの連続にただもう閉口しますね、ホント)。
ところがこの本でまずやるべき事として挙げているのは、例えば相手の話に興味を示すといった「一旦主役になるのをやめて」聞き役にまわるみたいな方法です。つまりコミュニケーション力をアップするには「主役の座を降り」なきゃいけないって事なんです。人は皆「主役でありたい」生き物であり、実はコミュ力とは「主役じゃない自分を受け入れられるかどうか」で決まると言っても過言じゃない、そう思いました。しかもこの本の通り「聞き役にまわって」相手とのコミュニケーションが上手く行ったとしても、果たして今度は自分の主張を述べた時にそれが思ったようにスムーズに相手に通るだろうか?という疑問が残ります。
コミュニケーションを本来の「意思疎通」と捉えれば、少なくとも相手との立場は「50ー50」でありたいと考えるんじゃないでしょうか。結論として、私はこの本で色々とコミュニケーションについて考えさせられましたが、最後に思ったのはコミュニケーションとは社会における「人付き合いの初歩の初歩」だという事実ですね。
まず社会人として当たり前の事をちゃんと出来る人間になる事、それが「基本としてのコミュ力」を身に付けることだと痛感しました。これはある意味で「社会人としてのスタートライン」に立つ、とも言えます。コミュニケーションというのは、知ってる人に道で会ったら挨拶しましょう!っていう位の当然の事なんですね。それをほんの少し広げて「日常生活にも応用しましょう!」というのがこの本の主題だと思います。
その意味でこの本は、ハウ・ツー本としての内容を完璧に備えています。勿論世の中には結果が知りたくて「それが出来たらどうなるわけ?」と、ご褒美を約束してくれなきゃやらないっていう人がいるのも確かです。ですが私は「まずやってみる」ことだと思います。答えは「その後」に分かってくるんじゃないでしょうか。実際上手く行った例が目の前にいるんですから(田村淳がその実例ですけど、ちょっと弱いかなぁ・・・)
まあ何事もそうですが、成功する人としない人の違いはそこに有ルようですね。
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