明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

毎週女子ゴルフ(17)アース・モンダミンカップは風が主役

2022-06-27 15:53:42 | スポーツ・ゴルフ

1、目を覆うスターターの選手コール

初日の1番ホールでスタート時にティーオフする選手を紹介する役目の人が、どういう考えからか「プロレスまがいに大声でがなり立て」て名前をコールするのが大顰蹙・大失笑を買っていた。放送がCSだけだったので知らない人も多かったと思うが、私はテレビを見ていて大変不愉快な気分になったのだ。アース・モンダミンカップといえば賞金額3億円という国内屈指のビッグ・トーナメントである。それが、紹介アナウンス一つで「下品極まる裏路地興行」に成り下がっていることを、現場にいるLPGAの役員たちはどう見ているのだろうか。黙って放っているからには「面白い人ね」ぐらいに見ていたのかも知れない。見識不足である。勿論、このスターターは良かれと思ってやっているに違いないが、ゴルフというスポーツを全く「勘違い」していることは明白である。何でもかんでも威勢よく盛り上げればいいと言うもんでは無いのだ。

私は何も伝統ある大会だからとか神聖なスポーツにふさわしくないとか、そんな事を言っているのではない。ゴルフはその競技の性質上、人間の操作が及ばない大自然を相手とし、静止しているボールの一点に集中して「一瞬の動作」で完結するゲームである。観客はインパクトの瞬間を「固唾をのんで」待っているのだ。他の対人競技で気分を盛り上げる場合は、登場時に盛大にコールするのも理に適っているだろう。だがゴルフの場合は選手はこれから打つ自分の一打に半端ないくらい精密に集中しており、海外のツアーを見ると「観客の拍手に対し、ロクな挨拶もせずにいる」のが普通である。それで周囲の反応は「冷たい奴!」と批判するかと思いきや、「何とも思わない」から理解して受け入れているのであろう。まあ、ゴルフというスポーツの「成熟度が違う」と言えばそれまでだが、それにしても今回のスターターは論外である。

要するにゴルフでは、選手の気持ちを掻き乱すような行為は、出来るだけ慎むべきなのだ。そうすれば選手はプレーに集中し、素晴らしい一打が生まれるかも知れない。そのスーパーショットを見るために、観客はじっと座って待っているのである。そこを理解しなければ、ゴルフはゲームとして成り立たない。だから打つ動作に入ったら「静かにして下さい」という札を掲げて、観客に注意を促すのである。水を打ったように静まり返った中で、選手は集中力をMAXにしてこの一瞬に持てる力を全て出し切るのだ。ゴルフとは、そういうスポーツなのである。

今後は試合の運営スタッフにそういう勘違いしてる者がいた場合、監督役のLPGAの方で注意し、正しい方法に直させるべきである(2日目以降は少しトーンがおとなしくなったと思う)。

2、永井花奈の技術

最初テレビに映った彼女を見た時に、えらくお腹周りがスッキリしているのに驚いた。「痩せたなぁ〜」とビックリしたのである。顔も心なしか頬の辺りがホッソリして、以前のポッチャリ感がなくなっていた。大丈夫かいな?。私の心配なぞ「どこ吹く風と三度笠」、プレー自体は素晴らしく正確で、彼女の類稀なショット力が「吹き荒れる強風」の中で存分に発揮されたことは言うまでもない。

何でも、持ち球をドローから「フェード」に変えたとのこと。しかも先月のブリジストンレディスの「2日目」に変えたというから「二度ビックリ」なのだ。最近ようやくドローが出るようになった私にしてみれば、今度はドローで次はフェードなどと打ち分けることが出来る人は天才である。まあ、プロだから当然と言えば当然なのだが、改めて「永井花奈、スゴイ奴だぜ!」と再評価した(他にも原英莉花や堀琴音など、フェードに変えて成功している女子プロも多い)。

ささきしょうこや金田久美子などがラフにつかまったホールでも、彼女のショットがフェアウェイを捉えていた場面が多かったのは、この球筋変更でコントロールが良くなったのだと私は想像した。インタビューにも答えていたが、球の高低も変えて打っていたらしく、流石にプロだけあって「見事な技術」である。彼女、可愛いいだけじゃないとは前々から思ってはいたが、ここに来て「実力派」に転身となれば、より一層ファンが増えること間違いない。

今回は惜しくも1アンダー5位タイに終わったが、スッと立ってリズム良くあっさり決めるパター・スタイルなど、随所に見せた決断の速さは魅力の一つに数えてもいいだろう。飛距離も結構飛んでいたので、これから後半戦が楽しみである。

3、金田久美子はドタバタの天才

最終日最終組の「金田・永井・ささき」の三人は、勿論真剣にプレーしているのは間違いないのだが、何故か「ほんわか」とした楽しさが伝わってくるのはキャラクターだろうか。「おでぶちゃん」のささきに対して、「マッチ棒」みたいな痩せた金田の好対照が場を和ませるのかも。それにしても金田久美子の気迫の籠もったチップインや奇跡的なロングパットは、試合を大いに沸かせたスーパープレイである。本人もインタビューで久し振りに「楽しかった」と言っていた通り、持っている力の全てを出し尽くして「最後までやり切った」充足感があったのではないか。コースコンディションが「強風とグリーンのアンジュレーション」で超難しい中、技術と持ち前の「根性」でトップに喰らいついていく姿に、観客も思わず大声援と喝采を送っていたのは流石スターの「キンクミ」の面目躍如である。

一時は奇抜なギャル風のファッションでイメージが悪かった彼女も、最近はアスリートとしての風格も徐々に見せてくれるようになっていて、「ささきしょうこ」との、首の皮一枚で持ち堪える土壇場アプローチのドッグファイトには、見ている側も思わず画面に「のめり込んで」しまう面白さがあった。こういう緊迫した1打1打を、同時に数ホール、リアルタイムで見せてくれるテレビ放送というのは、コースで観戦している人には得られない楽しさ・魅力があると思う(ネット放送はまだ未知)。だからもしチケットを買って試合を直に見る機会があったなら、タブレットをお供に観戦するというのも必要であろう。選手の表情もアップで見られるので、より試合を楽しめるというのではないだろうか。

そう言えば金田も永井もささきも、ピリピリとした緊迫のシーンでも画面の大写しに負けない「目力」があった。目には一段と性格が表れるというが、この三人の「目標をキッと見据えた目」には、決断して何の迷いもなく勝負の一打に賭ける「戦士の澄んだ瞳」を感じさせる美しさがあった。

4、雨より風

これは余談だが、今回のアース・モンダミン・カップはコースセッティングがシビアーで、ささきの最後のパットが外れる瞬間まで、一打ごとに「はらはらどきどき」の緊張感を観客に与え続けていたのは見事である。やはりコースのコンディションとセッティングの妙、それにゲームを難しくした最大の要因の「7メートルの強風」が三つ巴となって試合を面白くしたと言える。これが風じゃなくて雨だったら、これほど面白くもなく、つまらない試合になっていただろうと私は思う。とにかく雨は最低最悪だ。やっている本人も不快だし、見ている我々も面白くも何とも無い。だから台風シーズンにゲームが重なると、一気に試合への興味が失せるのである。私は「こんな台風の日にゴルフやるなんて、バッカじゃない?」と思っちゃう人間の一人なのだ(風より雨の方が好きという人もいるが)。思うにゴルフは雨より風、この一択であろう。

5、木村彩子のキャディーが可愛いい

最後に一言。優勝した木村彩子のキャディーは、同じくらいの年齢の若い女性がやっていた。女子ツアーにも最近女性キャディーが増えてきたようで嬉しい限りである。米男子ツアーなどでも「奥さん」がキャディーをやっていて、重たいバッグを担いでいるシーンが散見されるが、大丈夫なんだろうか。まあ、ヨーロッパ人はガタイもデカくて頑丈そうだから良いとして、日本人の女性にはちょっと荷が重いのはないかと想像する。その点、今回はカートを引いていたのでそういう心配はないが、キャディーに求められるスキルという点では「ちょっと頼りないかな」と余計な心配をしてしまう。だが木村がキャディーと「どういう球筋で攻めていくか」という相談をしている場面は、残念だがテレビの画面だけでは分からなかった。こういう細かいところは、やはり「会場に行って」直接応援をしてみないとわからない部分である。しかし直後のインタビューでは相談はバッチリ出来ていたようで、多分キャディーもプロゴルファーなんだろう。ネット検索してみたい。しかし同じ女性同士ということで、息もピッタリ合い「優勝への原動力」になったであろうことは想像に難くない。

これから女性がゴルフ界にもっともっと進出して、可愛らしいウェアを着た若い女性が「コースにわんさか溢れるようになれば」素晴らしいことである。そうなれば今よりさらにゴルフ場も活性化して、華やかでゴージャスな「誰もが楽しめるスポーツ」の時代がやって来ると思う。その時は我々も、少しは経験者ということで「若い女性から尊敬される」のじゃないだろうか?

願望を込めて書いてみました。なお、今週の全米女子プロ選手権は、チョン・インジが久々の優勝。畑岡奈紗は何とか上位に食い込んだが、渋野日向子は体調不良で欠場、古江彩佳は予選落ちでした。中々上手くはいきませんな。


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