明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

日米LPGA観戦記(12)今年初メジャーで吉田優利が優勝!

2023-05-08 13:37:33 | スポーツ・ゴルフ

とにかく吉田優利が「落ち着いて」いた、の一言。何より、ボギーを打っても「表情に出さない」プレー振りで、淡々としかし常に「一定の緊張感を持って」プレーしていたのがスゴイと思った。この冷静さでまだ23歳なのである。そもそも試合に臨む姿勢が違う。優勝後のインタビューでも涙とは無縁のしっかりとした受け答えが印象に残った。勿論調子が良かったと言えばそれまでなのだが、調子は去年から「いつ勝ってもおかしくない」程の出来だったのである。それが今年から、目の上のたんこぶである「勝と西村」がアメリカツアーに戦いの場を移した。運も味方につけての優勝ということか。

しかしライバルがいなくなったかというとその代わり新人が大躍進し、ツアーの争いはより一層激しくなったとも言えるのだ。去年はデビューしたてなのに川崎春花・尾関彩美悠・岩井千怜、今年も岩井明愛と神谷そらが勝った。ついこないだまでは黄金世代という言葉がツアーを象徴するように使われていたが、もはや何々世代という表現では括れない選手層の厚さである。

ちなみに去年ツアーで勝った選手を挙げてみると、① 西郷真央(5勝)② 山下美夢有(5勝)③ 小祝さくら ④ 西村優菜 ⑤ 勝みなみ ⑥ 川崎春花 ⑦ 岩井千怜 ⑧ 稲見萌寧(以上2勝)、そしてサイペイイン・堀琴音・上田桃子・植竹希望・高橋彩華・渡邉彩香・木村彩子・青木瀬令奈・菊池絵理香・尾関彩美悠・イミニョン・セキユウティン・古江彩佳・金田久美子・藤田さいき(以上1勝)である。女子ツアーは試合数が多いので、優勝する顔ぶれも多彩なのだ。

こう見ると意外と「ベテラン勢」が勝っているとも言える?。そう言えばサイペイインの初優勝や、金田久美子・藤田さいきの涙の優勝には、私もテレビを見ながら感動した。植竹と高橋が「置いてかれた黄金世代」を脱してようやく優勝出来たのも嬉しい出来事である。ある意味実力があっても、中々勝てないのが女子ツアーなのだ。そういう意味では今年の「吉本ひかると山内日菜子」の優勝は、普段からの努力が報われた良い例であろう(それ以上に、全然勝てなくていつの間にかツアーから消えてしまう選手も多い)。

それにしてもデビューしたての新人がこうもあっさりと勝ってしまうのは、やはりそれだけ選手のレベルが「上がっている」としか言いようがない。特にここ一年位は「飛距離自慢」の若手の台頭が著しいと見た。飛距離で比較するならば一位は相変わらずの穴井詩だが、2位に神谷そら、3位に竹田麗央、4位5位にはベテランの渡邉と葭葉が頑張っているが6位に荒川怜郁、7位岩井千怜、8位櫻井心那と半数が新人である。20位までにも11位泉田琴菜、13位岩井明愛、14位内田ことこ、16位佐藤心結と4人も入っている。もはやツアーも「飛ばし全盛」の時代に突入したと言えるではないか!

勿論、飛距離が出る選手が即上位に来る訳では無いという事は、今回のメジャーで軒並みスコアが出なかったのを見れば判る通りである(4日間合計37オーバーというスコアもあって、プロの試合では滅多に見ない数字である)。今回の茨城ゴルフ倶楽部は「ものすごい強風」でフェアウェイにボールを置くのが非常に難しく、おまけにラフが足首も見えない位「芝がめちゃめちゃ長い」ために、ラフから打ったボールは殆ど飛ばず、すぐスコアを落としてしまう選手が続出した。そしてフェアウェイからグリーンを狙ったとしても落としどころが極端に狭くて、この風の中ではバーディーチャンスにすら乗せるのが至難の業である。

そして最後のトドメが「予測不可のグリーン」という訳だ(どんだけ苦しめれば気が済むんだよ!、というのが選手の正直な気持ちである)。まあ普通のゴルフ場でこれをやったら、お客の大部分は「二度とこなくなる」のは確実であろう。私の友人のSN氏はこないだ行ったゴルフ場で、グリーンヒットしたボールが「ころころっ」と転がってバンカーに入り、そこから出すのに3発も打って「もう2度と行かない!」と憤慨していた(さもありなん!)。楽しくなければゴルフをやる意味がない。そういう意味では「全員がオーバーパー」という試合は、プロツアーとして如何な物かである。難しくすればいいと言うもんではないだろう。10mを超す強風に煽られてスコアがめちゃくちゃになりながらも3日間耐えて耐えて頑張った挙句に、最終日に「大雨で冷えまくり」だっちゅうんだからもう踏んだり蹴ったりである。これじゃ「気持ちを切らさず」に戦うのは「殆ど無理」なのではないだろうか?

こう書いて来ると一見、ひたすら「思った通りに行かないだけ」のつまらないゴルフを見せられているようだが、これが終盤に近く15番16番辺りになると1位吉田優利と2位申ジエの差が「1打」と迫って来て、俄然画面からも緊張感が伝わって来て私も椅子に座りなおした。これでようやく「メジャーの試合」らしくなって来たではないか!。果たして勝負の行方は、どうなる・どうなる?・・・

答えは皆さんご存じの通りで多くは申し上げるまでも無いから割愛する。

一方、私の応援している「三ヶ島かな」は左太ももに痛々しくテーピングしての試合だったが、残念ながら17オーバーで38位Tだった。まあ予選を突破しただけでも御の字である。もう一人の推し「金澤志奈」は途中まで良い感じだったのだが、最後は力尽きて13オーバー20位Tである。なお、菅沼菜々、高橋彩華、佐藤心結、イミニョン、山路晶、堀琴音、河本結、ささきしょうこ、尾関彩美悠、テレサルー、藤田さいき、金田久美子、田辺ひかり、川崎春花、それに小野祐夢などが予選を通過できなかった。力はあるのだが残念である。特に河本結は予選通過しそうだったのに落ちてしまったのは悔しい結果だ。次回、是非頑張ってほしいものである。なお「神谷そらとセキユウティン」は棄権した模様。心配である(稲見萌寧も棄権したが、腰が相当悪そうでこれはこれで問題である)。まあ不動裕理がスコア間違いで失格というのは大いに笑えた。弘法も筆の誤りと言うべきか。

その他は新垣比菜が57位T、永井花奈が38位T、西郷真央・山内日菜子・青木瀬令奈が32T、櫻井心那が10位T、佐久間朱莉が7位Tと頑張った。

その中で「上田桃子」が年齢を感じさせない積極的なプレーでギャラリーを沸かせたのは見事である。今回はメジャー初勝利は「お預け」だった。しかしゴルフの中身は素晴らしく、スタッツも上位をキープしていて辻コーチも「ここ10年で一番いい状態!」と絶賛しているって話。後は1、2発のラッキーショットがあれば、優勝は自ずから付いて来るのではないか?。去年も勝っているので、今が乗りに乗っている状態。今年が最後のチャンスと考えて、残りのメジャーに全力で挑んで欲しいと思う。

ところで私が今回注目したのは「リハナ」である。リハナはステップアップツアーでも賞金女王を取っているし、とにかく正確なショット力と小技とそれにパターが抜群に上手い選手である。特に100ヤード以内のショットには定評があり、これから度々上位に顔を出して来る選手と見た。韓国系によくいる、アンソンジュとか申ジエとかイミニョンとかの「憎たらしい」タイプでは無いので人気も出るのでは?。まあ、もう少し可愛気があればいいのだが、まずは一勝だろう。

友人のSN氏応援の「小祝さくら」だがあと一歩と言うところで痛恨の池ポチャをしてしまい、最終的には6オーバー3位Tと悔しい結果に終わった。池ポチャのシーンでは一旦グリーンには乗ったかに見えたのだが、バックスピンで転がり落ちてしまい、優勝戦線から脱落した。本人はサバサバしてて余り悔しそうでも無い風に見えたのだが、どうやら「内心は相当悔しかったみたい」である。まあ、スイング改造も着々と進んでいるようだし、今年早いうちに「また勝つ」のではないだろうか。ゴルフのポテンシャルは充分優勝するだけの力はあるので、後は「1%の運だけ」である。なお、今回は「新しいトラス型のパター」を使っていたのが目を引いた。ころころパターを変えている感があるが、唯一の弱点がパターなのかも知れない。ちなみにスタッツは「 1.8144 」で33位である(パーオンホールでの数値)。ちなみに1位の上田桃子は 1.7228 、2位の岩井明愛は 1.7635 、比嘉真美子・岩井千怜・吉本ひかる・ささきしょうこ・青木瀬令奈・全美貞・山内日菜子・申ジエ・金田久美子・川岸史果・神谷そら・葭葉ルミ・尾関彩美悠・森田遥が 1.8 を切っており、パターの名手「鈴木愛」も 1.7993 と「 1.8 」以下に収めている。小祝にとっては、ここが「勝負の分かれ目」になりそう。

で、問題の「申ジエ」である。永久シード30勝まで「あと3勝」と迫っていて、今回はのどから手が出ちゃうほど欲しい1勝が目の前に転がっている、というシチュエーションだった。最終日は後半に猛追して残り3ホールぐらいで1打差という絶好のポジション。今まで何回も「同じような状況」で勝ってきて、しかも今年既に1勝していて絶好調である。勝負をかける16番のロングホール(?)で、さあここでもう一発「逆転のバーディもしくは優勝を決めるイーグル」を・・・と勢い込んでティーショットを振り抜いた所が、まさかのフェアウェイバンカーにがっつり打ち込んでしまい、そこから「無理やりユーティリティ」で距離を稼ごうとしたのが裏目に出て、哀れアゴにぶち当たり「チョロった」のが失敗のすべてだった。万事休す!

我々見ている側からしても、ユーティリティで打つにはちょっとアゴが高いな?と思っていたのだが、球が「上り斜面」にあったから大丈夫と踏んだのだろう。本人も高く打つ技術があるだけに、ここぞと言う時に失敗してしまったのが悔やまれる。まあ、これは申ジエらしくない選択だった。ごく普通に、マネジメント通り7番アイアンあたりで「とにかく出して」おきさえすれば、まだなんとか勝負になっていたんじゃないかと思う(素人考えで済みません)。これはもしかして、流石の申ジエも「ここで勝負しなければ」と追い詰められてユーティリティを持ったのかも知れない。それ位、吉田優利はプレッシャーにも全く動じず、追いかける申ジエ側から見ると「落ち着き払って」いたと言えるのではないだろうか。やはり吉田優利が「勝つべくして勝った」メジャーだったようだ。

申ジエ、破れたり!

と言う訳で、吉田優利が危なげなく勝った。一言付け加えれば吉田は他の選手と比べて「ピンを狙うショット」の精度が段違いに優れていたように思う。殆どの選手がピンを直接狙わずに手前から手前からと打っていて、結果ショートしたりバンカーに入れたりしていたのに比べると、吉田は何回か「ピンハイ」にピッタリとつける場面があった。これはあの強風を考えれば「とんでもなく凄い精度」のショットである。吉田は体を目いっぱい使ってフルスイングしているように見えるが、それでいて「この精度を出せる」というのは普段から練習を欠かさず地道なトレーニングを続けているからであろう。小祝は辻コーチから抜けて独自の練習を始めたようだが、吉田は良好な関係を保っているおみたいである。やっぱり練習が大事かな?



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