感想:エスカレーション

2020-12-04 06:26:53 | その他



うおおお!! 表紙がいとうのいぢ!! すごすぎる…。


というわけで、伝説のくりいむレモンノベライズ復刊第二弾。
「今夜はハード・コア」「禁断のソナタ」「天使たちのエピローグ」の三部作を
伝説の作家・倉田悠子が小説化。
実質的に日本最古の百合ラノベ!!


ミッション系女学院における愛欲渦巻く嗜虐と被虐の狂宴。

百合という言葉がいつできたのかはわからないが、
ここ最近で急に百合にハマってしまった自分にとって、
実に素晴らしいタイミング。



復刊を機に、先に三部作のアニメを全部観た。

「黒猫館」と同様に、ノベライズの意義が非常に大きい良作。
アニメ版ではおそらく細かい設定を詰めていたのだろうけれど、
やはりエロに尺を取りすぎて伝えきれない部分が多かった。
情景描写・心理描写が詳細になるだけで、作品として
一気に深みが出て面白くなるのだなぁと感心しきり。
(もちろん、アニメはそのエロさにおいて非常に大きな意義はあるのだけれど)



編入してきたリエが一目見て憧れを持ってしまった生徒会長のなおみ。
なおみもまた、リエの奥底に眠る被虐志向を見抜き、
危険な誘惑に持ち込んでいく。

愛情と友情と肉欲の三位一体が
舞台となる敬虔な学園と濃密に絡まって醸し出されていく、
えもいわれぬ背徳感。

80年代の天真爛漫な女子高生像と、禁忌ともとれる女同士の営みが際立って
実に素晴らしい世界を描き出している。



そして『エスカレーション』というタイトルの意味。
徐々に激しさを増していく狂宴と、三部作で学年が上がっていく様子。
「お姉さま」が代々受け継がれていく過程。
ダブルミーニング・トリプルミーニングがたまらなく美しく映える。

アニメでもそれらは表現されていたものの、
やはり小説としての表現の美しさがあってこそ煌めくタイトルだと思う。



あとはまあ、二作目「禁断のソナタ」のなかにおいて
なおみの父と弟が性の狂宴に参加するのだけれど
本人たちが直接まぐわうことがなくてガッカリです。
目の前でJKがくんずほぐれつしてるのに平気なのがマジでおかしい。
男を描写するときに性欲に関して嘘をつくと一発で説得力がなくなるんだよな…。

とはいえ、最近「小説家になろう」で百合小説を書いて
おっさんにレイプされる話にしたら読者から袋叩きにされた自分からすると
百合作品には男に手を出させてはいけないという不文律があるということを
30年越しで教えてくれた素晴らしい教科書にも感じられた。


やってることが滅茶苦茶なのに「なんとなくいい話」で締めるのは
エロ系作品のセオリー。
それをいかに自然にもっていくかが作者の腕の見せどころなのだろうけれど
本当にこの作者はそれが上手い。
「黒猫館」の読了時と同様に、ちょっと泣きそうになってしまった。



最近は少しずつくりいむレモンのアニメを観ているのだれど
やはりどれも舞台設定が秀逸だなあ。
80年代のオタク向けアニメはロマンがあるね。
懐古主義と言われてしまうと何も言い返せないが。



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