まあ、右翼っぽくない雑感です・・・。
①個人的には、三島由紀夫って、わりとはやくから読んでいた作家の一人だったし、関心領域も重なるところが多いのだけど、共感するところと付いていけないところと両面ありますね。
一種の「守旧派」的な美意識とか、歌舞伎観にはわりと共鳴するし、議論の多い右翼っぽい言動の一部まではある程度わかる(戦前を全否定する風潮への批判とか)。
でも、やっぱりこの「自決」がどうにも頷けないし、本当に「憂国」忌と呼んでいい死に方なのか、どうなのか?若い人に乗せられて引っ込みがつかなくなったというのが真相なのでは・・・、と思っているわたしです。
というのも、どう考えても政治的に拙いですからね~。
それと、前にも書いたけど、深沢七郎の批判がわたしには一番的を得ていると思います。
②たまたまテレビを観ていたら、若松孝二が次回作で三島事件を扱うとのこと。正直言って、彼には荷が重いんじゃないのと思ってしまったわたしです。「これをやらないと昭和が終わらない」という心意気は買いますけどね。
③若松孝二の新作より、ポール・シュレイダーが監督した映画『MISHIMA』の方が観たいですね。
これは、製作当時三島未亡人が日本での公開に反対して、今でも日本では上映していないはず。緒形拳主演で三上博史も出てるんですよね。
以前、パリに行ったときシネマテークでやっていたんだけど、観に行けなかったのが悔やまれます。どこか配給会社がトライしないかな?
④個人的に、生前の三島を知っている方々とお話したことがありますが、崇拝してしまっているタイプと、「無理してる人だな」という退いた見方をしているタイプに分かれるような気がします。
これも以前書いたけど、「三島由紀夫と田宮二郎は、無理している感じのするところがよく似ていた」とおっしゃっていた方もいましたね~。
⑤で、最後に好きな作品。山田詠美は「青の時代」とか「美徳のよろめき」、「音楽」みたいな中篇が良いといっているんだけど、わたしは中篇には駄作が多いと思う。(ま、「盗賊」は例外かな?)
といって、分厚い長編は多少読み疲れるところがあるし・・・。
というわけで、わたしが偏愛しているのは評論集『作家論』(中公文庫)とか、日記『裸体と衣装』とか、後は短編(特に初期)
「山羊の首」、「魔群の通過」、「百万円煎餅」、「月澹荘奇譚」、「女形」・・・。
あとは戯曲ですね。「サド公爵夫人」、「近代能楽集」、「鹿鳴館」、「鰯売恋引網」などの歌舞伎作品など・・・。
そして、忘れてならないのは、軽いエッセイ。「不道徳教育講座」は忘れられた名著ではないのかな?でも、この本の軽妙さを考えると、ますます何であんなふうに死んだのかわからなくなる。つまり、「不道徳」になり切れなかったんじゃないのって感じで・・・。
ところで、全然関係ないけど、海老蔵って、眉毛から目元がどうも三島に似てるような気がするんだなあ~。そう思いません?
PS:急に思い出したけど、自衛隊がクーデーターを起こすという映画があります。
めちゃくちゃ陳腐な感じだけど、この陳腐さと市谷駐屯地の事件がわたしには重なるんだなあ~。お暇な方はどうぞ!
①個人的には、三島由紀夫って、わりとはやくから読んでいた作家の一人だったし、関心領域も重なるところが多いのだけど、共感するところと付いていけないところと両面ありますね。
一種の「守旧派」的な美意識とか、歌舞伎観にはわりと共鳴するし、議論の多い右翼っぽい言動の一部まではある程度わかる(戦前を全否定する風潮への批判とか)。
でも、やっぱりこの「自決」がどうにも頷けないし、本当に「憂国」忌と呼んでいい死に方なのか、どうなのか?若い人に乗せられて引っ込みがつかなくなったというのが真相なのでは・・・、と思っているわたしです。
というのも、どう考えても政治的に拙いですからね~。
それと、前にも書いたけど、深沢七郎の批判がわたしには一番的を得ていると思います。
②たまたまテレビを観ていたら、若松孝二が次回作で三島事件を扱うとのこと。正直言って、彼には荷が重いんじゃないのと思ってしまったわたしです。「これをやらないと昭和が終わらない」という心意気は買いますけどね。
③若松孝二の新作より、ポール・シュレイダーが監督した映画『MISHIMA』の方が観たいですね。
これは、製作当時三島未亡人が日本での公開に反対して、今でも日本では上映していないはず。緒形拳主演で三上博史も出てるんですよね。
以前、パリに行ったときシネマテークでやっていたんだけど、観に行けなかったのが悔やまれます。どこか配給会社がトライしないかな?
④個人的に、生前の三島を知っている方々とお話したことがありますが、崇拝してしまっているタイプと、「無理してる人だな」という退いた見方をしているタイプに分かれるような気がします。
これも以前書いたけど、「三島由紀夫と田宮二郎は、無理している感じのするところがよく似ていた」とおっしゃっていた方もいましたね~。
⑤で、最後に好きな作品。山田詠美は「青の時代」とか「美徳のよろめき」、「音楽」みたいな中篇が良いといっているんだけど、わたしは中篇には駄作が多いと思う。(ま、「盗賊」は例外かな?)
といって、分厚い長編は多少読み疲れるところがあるし・・・。
というわけで、わたしが偏愛しているのは評論集『作家論』(中公文庫)とか、日記『裸体と衣装』とか、後は短編(特に初期)
「山羊の首」、「魔群の通過」、「百万円煎餅」、「月澹荘奇譚」、「女形」・・・。
あとは戯曲ですね。「サド公爵夫人」、「近代能楽集」、「鹿鳴館」、「鰯売恋引網」などの歌舞伎作品など・・・。
そして、忘れてならないのは、軽いエッセイ。「不道徳教育講座」は忘れられた名著ではないのかな?でも、この本の軽妙さを考えると、ますます何であんなふうに死んだのかわからなくなる。つまり、「不道徳」になり切れなかったんじゃないのって感じで・・・。
ところで、全然関係ないけど、海老蔵って、眉毛から目元がどうも三島に似てるような気がするんだなあ~。そう思いません?
三島由紀夫の家 普及版 | |
篠山 紀信 篠田 達美 | |
美術出版社 |
三島由紀夫映画論集成 | |
三島 由紀夫,平岡 威一郎,藤井 浩明,山内 由紀人 | |
ワイズ出版 |
PS:急に思い出したけど、自衛隊がクーデーターを起こすという映画があります。
めちゃくちゃ陳腐な感じだけど、この陳腐さと市谷駐屯地の事件がわたしには重なるんだなあ~。お暇な方はどうぞ!
皇帝のいない八月 [DVD] | |
クリエーター情報なし | |
松竹ホームビデオ |
思う!
ただ、三島は自分の容貌に相当なコンプレックスを持っていたらしいですけどね。
三島事件にかんしては
>肉体と精神を等価のものとすることによって、その実践によって、文学に対する近代主義的妄信を根底から破壊してやろうと思って来たのである。(私の中の25年)
ということを本気でやって本気で完結させたかったんだと思いますよ。今の保守オヤジだの、ネット右翼なんて言うのは、ホント口先だけのチキンホークですが、三島は違いましたからね。三島の死の意味は年々大きくなっていると思います。
まあ、切腹をどうしても一回やってみたかった切腹マニアだった…というのも本当のところだとは思いますが
どうも、運動神経のよくない人だったってことなんでしょうね。(このあたりが、石原慎太郎に馬鹿にされる所以か。)
それと、三島由紀夫の小説って、本人が「肉体、肉体」っていう割に、文章が肉感に乏しいんですよね。
そういう意味では、三島が嫌った日本の病人純文学からそんなに隔たってないような気もするんですけど、どうなんでしょう?
同じ「いじめられっ子タイプ」の大江健三郎の文章の方が、よっぽど肉体を感じます。(特に初期。)
ただ、おっしゃるように、現在の右寄り文化人の言説のパターンを作った人ではありますね。三島を超える右寄り言論パターンって、まだ開発されていないような気もします。
それと、切腹問題ですが、三島は映画の中で二度切腹シーンをやっていて、一度目は自作自演映画『憂国』、二度目は勝新太郎
石原裕次郎との共演作『人斬り』(五社英雄監督)。
で、妙な生々しさでいうと、『人斬り』のシーンは凄かった!この映画はなぜDVDにならないのかな~なんて思ってしまいます。ちょっと、不謹慎な話ではありますが…。
この本知らなかったので勉強になりました。
ちなみに、『青の時代』のモデルになった事件でいうと、保阪正康の『真説光クラブ事件』は面白く読みました。(三島と山崎晃嗣が友人だったという筆者の推理など)
ただ、小説としては同じ題材を扱った高木彬光の『白昼の死角』の方がわたしは好きですね。松尾昭典が監督したテレビシリーズ(山本圭や渡瀬恒彦が出てたやつ)もよかったし。
それと、おっしゃるように三島は子供というか、少年少女を描いたものもよいですね。「雨の中の噴水」とか。