切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

雨そして雨、それから・・・。

2006-07-25 01:00:31 | アメリカの夜(映画日記)
今年は、雨ばっかりでイヤですね~。そんなときは例によって、雨の出てくる映画でも考えましょうか!雨が出てくる映画だと、ボギーが雨に打たれる『裸の伯爵夫人』っていう映画が好きだって以前書いたことがあるけれど、日本には土砂降り雨の巨匠・黒澤明が控えているし、さて・・・、と考えてみたら、80年代以降で印象的な日本映画があることを思い出した!それは、森田芳光監督、松田優作主演の『それから』!もちろん、夏目漱石の原作です!

漱石作品のなかでも、不倫小説という題材から人気の高い「それから」。この作品を見事に映画化した当時の森田芳光は、やっぱり天才だった!

この頃の藤谷美和子は、今と違ってとっても可愛らしいし、脇役に笠智衆(!)、中村嘉葎雄、草笛光子、小林薫などの芸達者が揃い、この作品は80年代邦画の頂点に位置する傑作だったかもしれない!

さて、この映画のクライマックス、高等遊民の主人公・代助(松田優作)が、意を決して友人の妻・三千代に告白する場面では、まず土砂降り雨の中、合羽を着た主人公が坂を下りて白い百合の花を買いに行く。すべてに無関心な青年が、このときばかりは必死の形相で、下駄を履き、躓きながら石畳の坂を昇り降りするのが印象的だし、告白シーンの緊張感といったら・・・。

中学生時代、この映画を観たのがきっかけで、わたしの漱石ブームが始まり、早稲田と神楽坂の間にある漱石公園に行ってみたりもしたくらい。(因みに、「それから」に出てくる坂のモデルは神楽坂らしい。)

小説としては「それから」の次の「門」という作品の、ひっそりとしたひなびた感じが妙に好きだし、変り種では、落語みたいな「坑夫」っていう作品も結構好き。因みに、「坑夫」は「虞美人草」の後日談といわれているけど、「虞美人草」から登場人物の名前を借りた青山真治監督の「シェイデー・グローブ」なんて作品も、なかなかの映画だった。(って脱線だった!)

漱石作品の不可思議な女性たちと当時の藤谷美和子。そして、降りしきる雨と百合の花。「嗚呼いつになったら、梅雨は明けるのかしら?」って"硝子戸の中"から考えてしまうわたしでした・・・。

それから

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