切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

本日、国立小劇場で文楽(第二部)の千穐楽、観てました。

2017-05-29 23:59:59 | 恋する文楽
「加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)」を観てきたんだけど、充実してました。いい千穐楽だった気がします。ロビーで引退された嶋大夫師をお見かけして、個人的には嬉しかったです!ということで、今日のところは簡単な感想のみ。


文楽では不思議と上演回数少ないんじゃないですかね、この演目。もっとも歌舞伎でもあんまり回数はやってない気がして、比較的近年でも、翫雀・扇雀兄弟とか玉三郎&菊之助の舞台が記憶に残るなあ~。

で、今回は義太夫の難曲中の難曲といわれる「長局の段」に加えて、あまり上演されない「又助住家の段」をやるというんで、越路大夫・弥七、初代玉男&蓑助の「長局」のDVDと、山城少掾・三世清六のSP盤起しのCDを予習。もちろん、床本に加えて、越路大夫師の本に上演資料集と「浄瑠璃素人講釈」(岩波文庫)を読んで舞台鑑賞に臨んだんですが、結論からいうと、全段充実していたなと。

「又助住家」は、咲甫太夫・清志郎の中もよかったんだけど、奥の呂勢太夫・宗助の凄演がまあ凄かった。変なたとえだけど、談春の「文七元結」を生で聴いたときみたいな、ブルトーザーで一気に持って行かれる感じですかね。人形だと、幸助の又助もよかったけど、清十郎のお大がしっとりしてよかったです。以前なら文雀さんが似合いそうな役だなと思ったんですが。で、これは一家みんなが死んでしまう陰惨な話だけど、歌舞伎でもやってほしいと思いました。「伊賀越道中双六 岡崎の段」を成功させている吉右衛門一座でお願いしたいな。

そして、難曲「長局」とその前後。これも見応え聴き応えがありました。千歳太夫は「先代萩」なんかも聴いた記憶があるけど、越路大夫のそれより女性的な声柄の語りだと改めて思いました。中臈尾上(和生)、岩藤(二代目玉男)、お初(勘十郎)は前述のDVDとは少しタイプが違う気がして、尾上なんかは初代玉男の貫禄ある中臈のイメージより女性的な印象を持ちましたし、勘十郎のお初は蓑助師よりボーイッシュな少女に思えました。

というようなわけで、千穐楽に観てしまうと、「もう一回観たかった!」と思っても後の祭りなんですよね。NHKで収録してればいいんだけど。でも、「寺子屋」の方だけですっよね、きっと。越路大夫師の名言「文楽の修業は一生では足りなかった」じゃないけど、今月の鑑賞は一回づつでは足りなかったなあ~。ま、九月は文楽版「君の名は」として知られる「生写朝顔話」だから、そっちでこの分を…。ま、お金が続けばですけどね…。

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