切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

村上龍の『コインロッカー・ベイビーズ』が米で映画化!?

2005-07-07 01:00:27 | 超読書日記
村上龍の代表作『コインロッカー・ベイビーズ』がアメリカで映画化されるそうだ。キャストは、浅野忠信、ビンセント・ギャロ、リブ・タイラーら。あんまり好きな小説ではないんだけど、豪華キャストだし楽しみではあるな・・・。

『コインロッカー・ベイビーズ』が米で映画化!?

本音をいってしまえば、アメリカ人に『ブレードランナー』みたいな映画にされるぐらいなら、大友克洋、作画・監督で映画化してもらいたい気もするのだけどどうなのかな?(一種の80年代総括みたいな意味合いも含めて。)

あまり村上龍のよい読者ではないのだけど、いくつか好きな作品もあって、初期の三部作では、なんといっても『海の向こうで戦争が始まる』が大好きなんですよね。サーカスが出てきたりしてちょっとフェリーニの映画みたいなところがあるし、文学青年風のちょっと凝った場面転換の仕方と初期の村上龍特有のブスへの容赦のなさが面白いんですよね。(『限りなく~』はなんだかかったるかったし、『コインロッカー~』は結構陳腐な話でしょ?)

あと、個人的に一番好きなのが『エクスタシー』。一部の評論家が無闇に褒めた『五分後の世界』はわたしには全然面白くなかったのだけど、『エクスタシー』の方は中盤の「予感」をほのめかすようなくだりの緊張感が素晴らしくて、谷崎潤一郎の『卍』の最後50ページのスピード感以来の感動でしたね。わたしの中ではこの作品が村上龍の最高傑作なんですが、残念ながら同意してくれた人は今のところいません。

あとは、中条省平が褒めている『ライン』。特定の主人公がなく、次々と登場してくる人物に沿って話が進んでいく作品で、ルイス・ブニュエルの映画『自由の幻想』も似たようなスタイル。あえていうなら、小説の舞台である東京が主人公みたいなもんですが。

それと、『だいじょうぶマイフレンド』と短編集の『悲しき熱帯』も好きでしたね。『だいじょうぶマイフレンド』は出た当時評判が悪かったそうですが、最近の半端に時事ネタがらみの作品より全然好きです。文庫の解説の高橋源一郎も悪くなかったし。(室井祐月の前の奥さんが出てくる。)

村上龍の小説の魅力はなんといっても、普通の小説より薄皮一枚皮膚に近く感じるような文章にあったと思います。あえていうなら、ストーリーは陳腐なものが多く感じられたりもする。『ラブ&ポップ』の凄まじい駄作ぶりぐらいから読まなくなったんですが、(それでも、『イン・ザ・ミソスープ』までは読んで、『共生虫』は途中で投げ出した!)なんとなくかつてのような文章の「濃さ」が薄まりつつあるような気がするんですよね・・・。

最近は村上龍の小説よりメルマガ(JMM)の方が何かと勉強になるんですが、今話題の『半島を出よ』は読むかどうかわかりません。面白いんですか?どなたか教えてください!


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