切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

国立小劇場で文楽(第一部)、観てました。

2017-05-23 23:59:59 | 恋する文楽
呂太夫襲名の舞台、観てきました。ひとこと、よかったです!文楽の襲名口上といえば、歌舞伎と違ってシンプルかつ厳粛なイメージだったんだけど、今回は随分親しみやすい披露口上だったというか、あの眼光鋭い清治さんが面白いことをいうとは!ま、とにかく、新呂太夫がいかに周囲から愛されている人かってよくわかりました。もちろん、寺子屋もよかったですよ!

呂太夫襲名を祝うのぼりが国立劇場の壁に沿って6,7本立っているのも驚いたんだけど、お祝いの花にタイムリーな夫婦の名前が!ま、この夫婦も橋下徹よりはましな人間なんだと思ったりもしましたが…。

で、舞台の方は、まず最初の寿柱立万歳から桜丸切腹まで。個人的に印象に残ったのは、靖太夫の「訴訟の段」の語りの白太夫がちょっと住大夫の雰囲気を感じるなあと。もちろん、三味線が錦糸さんだからということもあるんでしょうけど。そして、ちょっとしか出てこないんだけど、あと何回観ることができるんだろうと思った蓑助師の桜丸。歌舞伎だと梅玉さんの桜丸のスーッとあらわれる感じが好きなんだけど、文楽だと、チラッと見えてからさっと現れる雰囲気が何とも言えませんね~。

次の口上は、金屏風の前に10人の技芸員が並ぶ豪華版。司会進行(?)の呂勢太夫はさすがにきりっとした口上、詰まり気味なところもちょっとらしかった津駒太夫、先代は美男子だったと強調する清治師に、文楽入門が同期という勘十郎。ま、とにかく、心温まるような披露口上でした。こういうところも時代の変化という気がしましたね~。

で、いよいよ寺子屋。呂勢太夫・清治の寺入りもよかったんだけど、呂太夫・清介の寺子屋はいつもの熱っぽい語りに加えて、今回は精緻というか密度が濃い感じがしました。できたら、切までそのまま語ってほしいと思ってしまったほど。

ところで、パンフを読んでいたら、去年が先代呂太夫の17回忌だったということで、もうそんなに経ったんだって思ってしまいましたね。というのも、NHKの特集「人間国宝ふたり」という番組の中で、先代呂太夫の訃報を聞いた初代玉男師が思わず「えらいこっちゃ」とつぶやいた場面を観ていたからで、この番組をリアルタイムで観ていたわたしの文楽観劇歴もいったい何年になるだ!と、思わず我が身を振り返ってしまいました…。(いつまでも若くはいられませんね~)

それにパンフがらみだと、不覚ながら桐竹紋寿師の訃報をわたしは知らなくて、どんどんわたしの観てきたベテラン陣が去っていくんだな~と思ったことと、松香太夫が三月で引退といいうのも寂しい気がしました。また、一方で、来年咲甫太夫が織太夫襲名(わたしの好きな合邦をやるそうな!)というのも、いよいよ将来の綱太夫候補ということなのかと、どんどん時代は動いていくんだと思いました。(もっとも、その前に咲大夫が綱太夫襲名を先にするんでしょうけど。)

ということで、今日はいろいろ考えさせられる一日でした。なお、呂太夫のサイン本を買ったんで、そのうち感想を書きます。

以上、とりあえず簡単な感想でした。

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