切られお富!

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十二月歌舞伎座、第一部&第二部に行ってきた。

2020-12-19 12:07:00 | かぶき讃(劇評)
今月は3回に分けて観に行く予定ですが、今日は「弥生の花 浅草祭」と「星野屋」でした。簡単に感想。

まず、芝居の前に一言。わたしは3回席に居たんですが、暖房が効きすぎで頭がボーっとしました。天井の高い建物なので仕方がないかもしれませんが、どうにかなりませんかね。

さて、一幕目、愛之助&松也の浅草祭。常磐津に始まって、清元、長唄で、山台総出演。援助的な意味もあるのかな?

で、これは、愛之助に一日の長があると思いました。松也は元気いっぱいで形も綺麗だけど、どこか歌舞伎舞踊っぽくないんですよね。最後の石橋の赤獅子の毛の振りも、振り切れていないっていう批評があったせいか、最後がヤケクソみたいに振っていて、観客は拍手していたけど、ウェわたしは・・・。以前七之助が勘九郎と交代でやった鏡獅子で、七之助はこの演目に慣れていなかったせいか、後半が体力不足が見て取れて、最後の獅子の毛振りがヤケクソっぽく荒かったけど、あの感じを思い出しました。難しいんでしょうね〜。

次が星野屋。

わたしは、八代目桂文楽の星野屋が大好きなので、前回あまり女形をやらない獅童が母親役をやった舞台が、ドタバタ喜劇風過ぎて、全然馴染めなかったんだけど、今回は母親役が猿弥で、どうなるかと思って観ていました。

で、基本線は前回同様の明るいドタバタ喜劇調だけど、さすがに猿弥は巧かった。この人は新派なんかに客演しても面白いだろうなと思ってみてました。ただ、演出の問題だと思うんだけど、八代目桂文楽あたりの世代は、実際に商家に丁稚奉公を経験していた世代で、大店の主人とか奥さんとかお妾さんの生活感を掴んでいたから、ああいう粋な落語ができたんだろうし、落語に艶もあるんだけど、この舞台はそういう生活感とか色気は薄いコメディではあるなと思います。

とはいえ、落語でも、志ん生、文楽の世代と、志ん朝、談志の世代だと、後者では技巧的な丁稚に思えて、旧世代の風情とか雰囲気はあまりないので、しょうがないのかもしれません。

でも、七之助は魅せるし、楽しめはしたので、これはこれでよいのでしょう。そのかわり、新派で商家の話をやるんなら、粋で生活感のある芝居をやってほしいなと思います。『犬神家』とかやらないで。

ということで、話はそれましたが、簡単な感想でした。

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