切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

訃報 田中登監督

2006-10-06 02:10:57 | アメリカの夜(映画日記)
この名匠監督の訃報の扱いがあまりに小さいことに憤りを感じるので、記事を書きます。このところ、監督の訃報の続く映画界。とりわけ、撮影所出身監督たちが絶滅しようとしているなか、神代辰巳と並ぶ存在だった田中登監督が亡くなった。こういうひとが映画を撮る機会なくこの世を去ったのは本当に残念だけど、そのこと以上に思うのは、語られる機会が少なくなってしまった彼の力作の数々のこと。不謹慎ながら、この機会にこの監督の作品を一人でも多くの人に見てもらいたいと願うばかりです。

映画監督の田中登さん死去(朝日新聞) - goo ニュース

日活のロマンポルノ路線から頭角を現した田中監督の代表作といえば、「(秘)色情めす市場」、「夜汽車の女」、「人妻集団暴行致死事件」「実録阿部定」など。

はっきりいって、タイトルで引いてしまう人も多いんだろうけど、純文学映画かと思うほど硬質な作品を撮る監督という印象で、なかでもとりわけ凄いのは「(秘)色情めす市場」という作品。

わたしはこの作品のビデオをいろんな女性に見せたのだけど、今までこの映画を悪く言ったひとは一人もいなかった。

特にヒロイン・芹明香の漂わせる虚無感は今だって池袋辺りにいる女の子のそれと、まったく遜色ない感覚のものだ。(それと、宮下順子!)

そして、もうひとつ作品をあげるとするなら、なんといっても「人妻集団暴行致死事件」。この映画の室田日出男の悲しさ、古尾谷雅人の姿は忘れがたいインパクトを残すものだった。

とにかく、「ロマンポルノ」というレッテルのために語られないってことが悔しいし、論客でもあった彼の言葉があまりの残っていないのもなんとも悔しい限り・・・。

ご冥福を祈るとともに、作品の再評価がなされることを切に願います。

・田中登監督ロング・インタビュー

実録 阿部定

ジェネオン エンタテインメント

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2 コメント

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Unknown (志治美世子)
2006-10-07 10:01:35
このころのロマンポルノ、名監督が続々出現していましたね。

男友達に一緒に行ってもらって(痴漢がいたので)、映画館に足を運んだのが懐かしいです。



そうそう、原一男の「極私的エロス」なんていうのもありましたっけ!

出産シーンをイスからずり落ちそうになりながら必死で見ていた、若き日の私でした。
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コメントありがとうございます。  (切られお富 )
2006-10-07 17:25:28
志治さん、たびたびコメントありがとうございます。



ロマンポルノって今見ると、全然突き抜けていて、普通の映画として楽しめるんですよね。知り合いの女性にも隠れファンが結構いるし、ロマンポルノがきっかけで、石井隆のマンガを好きになった人もいます。



それと、ロマンポルノではありませんが、原一男の『極私的エロス』も凄い作品でした。ヒロインが強烈でしたね。



今はどうされているんでしょうか?あの方・・・。
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